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女性護身術(じょせいごしんじゅつ、〔The Feminist Self-Defense Movement: A Case Study Patricia Seamless,Ronald J. Berger Gender and Society Vol. 1, No. 1 (Mar., 1987), pp. 61-84〕)とは、主に欧米で開発された女性と子供向けの護身術で、強姦、ドメスティックバイオレンス、性的虐待などの暴力に対抗することを目的としている。 == 歴史 == 1970年代からのフェミニズムといった女性運動の高まりにより、女性に対する暴力の問題が注目されるようになり、女性への暴力、強姦や性暴力を受けた女性の被害が調査・研究された。 その結果、女性の多くが夫や恋人によって殺害されていること〔殺人の女性被害者の32%が夫または恋人によって殺害されるが、男性の殺人被害者の場合は3%が妻または恋人に殺害されたに過ぎない。C.R.バートル,A.M.バートル『犯罪心理学 行動科学のアプローチ』北大路書房 2010年 p.301〕〔夫や恋人などによるパートナー暴力が、15〜44歳の女性の最も一般的な負傷原因で、強盗、交通事故、癌による死亡者数を越える。M.ハーウェイ,J.M.オニール『パートナー暴力』(北大路書房) 2011年 p.16〕、強姦の加害者は、ほとんどの場合、顔見知りであること〔面識の無い他人からの強姦は24.4%に過ぎなかった。C.R.バートル,A.M.バートル『犯罪心理学 行動科学のアプローチ』北大路書房 2010年 pp.393,394〕〔スーザン・エストリッチ『リアル・レイプ』JICC出版 1990年 p.28〕、強姦は暴力が伴わない場合が多いこと〔強姦では凶器はあまり使われず、怪我をするのは被害者の約4分の1で、その中で重症を負うのは5%。C.R.バートル,A.M.バートル『犯罪心理学 行動科学のアプローチ』北大路書房 2010年 p.394〕、 強姦の多くが衝動的ではなく計画的におこなわれていること〔強姦の71%または3分の2以上が明らかに計画していた。C.R.バートル,A.M.バートル『犯罪心理学 行動科学のアプローチ』北大路書房 2010年 p.396〕などの事実が判明した。 そうした女性への暴力に対抗するため、初の性暴力被害者女性のシェルターと電話相談が、1970年代にヨーロッパと北米に設けられた。しかし、フェミニスト達は暴力を受けた女性達をシェルターで受け入れるだけで不十分だと考え、女性が犠牲者にならないようにするため、空手や柔道の技を基本に持つ、女性護身術が生まれた〔PARABELLUMとは? 2016年4月7日閲覧〕。 具体的には、1972年には米国で空手をもとにしたモデル・マギングがマット・トーマスによって作られ〔knockouts: the physical feminism of women's self-defense 1997 p.60 2015年9月30日閲覧〕〔その後、モデル・マギングはマット・トーマス達男性インストラクターと女性インストラクターの内部対立により分裂し女性インストラクター達によって複数の団体が設立される。Mother Jones "Below the Belt" 1990 2015年9月30日閲覧〕、同年にカナダのペイジ一家によって空手と柔道をもとにしたウェンドーが作られた。1989年にはキッドパワーがアイリーン・ヴァンデルザンデによって作られている〔他にも北米および西ヨーロッパを中心に、様々な女性護身術団体があるが、ここでは日本で紹介されているものだけを挙げた。〕。女性護身術は米国の様々なマスメディアで取り上げられるようになり欧米を中心に普及していった〔LIFE Magazine "Fighting Back" 1993 2015年9月30日閲覧〕〔Glamour Magazine "Conquering Street Fear: A Self-Defense Course Worked For Me" 1991 2015年9月30日閲覧〕〔Walking Magazine "Walking Without Fear" 1993 2015年9月30日閲覧〕〔Sassy Magazine "I Am Woman Hear Me Roar" 1992 2015年9月30日閲覧〕〔Fitness Magazine "How Self-Defense Training Changed My Life" 1995 2015年9月30日閲覧〕。 これらの女性護身術は、初期の段階では空手、柔道や合気道といった日本の武道を元にして作られたが、後には独自の技術を発展させていき、現在では日本の武道の面影をあまり留めてはいない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「女性護身術」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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