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『完全なる報復』(かんぜんなるほうふく、原題: ''Law Abiding Citizen'')は、2009年のアメリカ合衆国のサスペンス映画。 == ストーリー == ペンシルベニア州フィラデルフィア。そこで暮らすクライド・シェルトンは幾つかの特許を持つエンジニアであり、愛する妻と幼い娘と共に幸せな家庭を築いていた。そんなある日、一家の下に強盗が現れ、妻と娘は惨殺され、クライドも重傷を負ってしまう。やがて犯人の二人組は警察に逮捕されるも、有罪に持ち込めるほどの決定的な証拠がなく、裁判は難航する。この事件を担当している検事のニック・ライスは、この状況を打開するべく、犯人の一人と司法取引を行い、有罪へと繋がる決定的な証言を得ることに成功。犯人の一人は死刑判決が下ったが、証言したもう一人の罪は、大幅に軽減されてしまう。当然これに納得のいかないクライドだったが、彼の力ではどうする事も出来ないのだった。それから10年後、死刑判決を受けていた犯人の1人が死刑執行となったが、犯人はニックらの目の前で通常とは違う薬物を使用され、全身から出血しながら死亡する。それはクライドによる復讐劇の始まりだった。 減刑されて死刑を免れていたもう一人の犯人がクライドの家族を殺害する時に言い放った言葉が死刑に使用する装置に刻まれていたことから、ニックらはその男を確保しに行くも、男は警官に変装したクライドの罠にかかって誘導された挙句拉致され、様々な延命措置を施された上で生きままに解体されるという残虐な方法でクライドに殺害される。警察は男が殺害された倉庫の所有者がクライドであることを割り出し、刑事のダニガン捜査官らと共に容疑者としてクライドを逮捕することにする。逮捕に駆け付けた警察に対して自ら全裸になり、娘の形見である手作りのブレスレット以外なにももたずに無抵抗で逮捕されたクライドは最初はニックの尋問に対してあっさりと殺害を自白したかに見えたが、言葉のあやを巧みに利用して法廷で利用できないようにしており、本当に自白してほしければ自分の房に質のいい新しいマットレスをくれ、と取引を持ちかける。当初は馬鹿にされてると相手にしなかったニックであったが、家族の元にクライドが倉庫での殺害映像をあらかじめ送りつけており、それを娘が見てしまったことを知ると取引に応じることにする。ニックらはクライドの経歴を洗うがここ10年間の記録は全く白紙といってよく、ニックの部下であるサラの調べで分かったことはクライドはフィラデルフィアに複数の工業用地を購入しているがパナマの会社に名義をうつして所在が分からないことと、なぜか米国防総省からクライドの口座に入金が行われていたことであった。 クライドは弁護士の権利を放棄したうえで保釈の申請を行う。ニックや判事の前で当初は真っ当で誠実な弁論を行い、まともな証拠がないニックは劣勢に立たされ、クライドは判事から信頼を得て保釈申請の許可が降りるも判事がそれを口にしたとたん豹変し、殺人犯を簡単に釈放させようとする判事を口汚く罵る。判事はかつてクライドの家族を殺した犯人の男の減刑を決した者だった。 クライドの保釈申請は却下されるがクライドは意気揚々としており、ニックにマットレスの件の対価として殺人を自白した。これで事件は終わりとニックが去ろうとした矢先、クライドは新たな取引を持ちかける。Tボーンステーキなど豪勢な昼食とを要求し、午後1時までにそれが届かない場合はクライドの家族を殺した犯人らの弁護を担当した弁護士を殺す、というものだった。ニックらが調べるとその弁護士は数日前から行方不明となっており、クライドは取引に応じるなら居場所を伝えるという。ニックらは約束通りTボーンステーキを注文するが刑務所の所長らが食事の検査を長引かせたことから約束の時間に届けられず、クライドから場所を伝えられてニックらはそこにかけつけた時には弁護士は地面に埋められた箱の中に生き埋めにされてすでに死亡していた。彼は箱の中で拘束された状態で酸素ボンベと栄養剤の点滴に繋がれ、午後1時15分に酸素が断たれて窒息死するようにされており、もし、1時までにクライドに食事を届けて場所を聞き出せていたら助けることができたということが判明する。一方、クライドは同じ房の囚人と共に届けられた食事を共に食べるなど意気投合するかに見えたが、突然Tボーンステーキの骨を使って囚人を殺害し、独房に隔離される。 ニックらはクライドが国防総省から金を受け取っていた件を調べて行くうちに、部下であるサラの協力者からクライドを知る国防総省に属するスパイを職とする男とコンタクトを上司であるジョナスと共に取ることに成功する。その男曰く、クライドも実はスパイであり、とりわけ、小型機器を利用して自分の手を汚さずに要人暗殺を行うエキスパートであるという。クライドは天性の策略家で独房に入れられていることにも意味があり、もし彼の凶行を止めたければ今すぐ殺害するしかないといって男は去った。 ニックとジョナスは判事に面会し、クライドの更なる拘束を行うための手続きを行うように申し出る。判事はそれを了承するが、直後に判事が手にしていた携帯電話が爆発し、ニックらの眼前で判事は頭を吹き飛ばされて死亡する。ニックはクライドと再度面会し、凶行を止めようと説得するが、クライドは自分の行いは単純な復讐ではなく今の司法制度への挑戦であると態度を変えないどころか、翌朝6時までに自分にかかっている告訴をすべて取り下げ、釈放しない場合は事件に関わった関係者をすべて殺害すると最後通告を行った。ニックはそれを拒否し、予定の時間をすぎてもなにも起きなかったため一同が安心した直後、一時休息を取ろうとして乗用車で帰宅しようとしたサラを含めたニックの部下ら数名があらかじめ仕掛けられた爆弾によってニック、ジョナスの眼前で爆殺される。さらに、サラら部下たちの葬儀を終え、墓地から去ろうとしたニック一向を今度は重機関銃や対戦車火器を搭載した無人の自走兵器が襲撃し、ジョナスとその護衛たちが命を落としてしまう。 なぜ、独房に隔離されているクライドにこのようなことができるのか? 共犯者がいるのか? 捜査陣は手掛かりをつかめず、ニックは自分の過去の行いで信頼できる部下や上司を失った自責の念から辞職を申し出るがフィラデルフィア市長は犯罪者に屈するべきではないとそれに応じず、ニックをジョナスの後任とし、非常事態宣言を出して厳戒態勢を敷く。 ニックは亡くなったサラの協力者より入手した資料でクライドが購入した工業用地の詳細を調べていくとその購入した土地がクライドが入っている刑務所を取り囲む用に買われていたことを突き止める。ダニガンらと共にその中の一つである工場を調べると工場の地下には弾薬や爆薬、変装用の様々な着衣の他、トンネルが張り巡らされており、それらはすべての独房に通じていた。クライドは10年の歳月をかけ、刑務所の抜け道を作り上げていた。刑務所から出るためにわざと囚人を殺害して自らを隔離させ、自由に出入りしていたのである。 ニックらは更に地下にてフィラデルフィア市庁舎の会議室などを映した監視ビデオ映像を見つける。クライドは今までも清掃員になり済まして市庁舎に幾度となく侵入を続けて建物の内部に精通しており、自作のナパーム爆薬を用いて市庁舎を市長ら重役と共に吹き飛ばそうとしていた。爆発物処理に長けるダニガンの部下によって爆弾を発見するとニックらはある計画を考える。それは本来、法の番人である彼が行ってはいけないことであったがダニガンらも承諾する。 ニックらに秘密がばれたことを知らないクライドが独房へ戻るとそこにはニックがいた。クライドは驚きながらもニックを称賛。ニックはクライドに自分はもう二度と殺人犯と司法取引をしないと誓うと爆破をやめる様に言う。その選択がお前の将来を決める、と。クライドは自分の行いは無駄ではなかったと苦笑しながらも爆破の遠隔操作のスイッチを入れる。するとニックは素早く独房から出て檻を閉めるとクライドに爆弾を独房のベッドの下に移動させたことを伝え、踵を返した。ダニガンらにより抜け道への扉をふさがれ、爆弾はニックらによって固定され、起動した時限装置の解除ができなくなったクライドはどうすることもできなくなり、諦めてその場に腰掛け、娘の遺品であるブレスレットを取りだす。それを見つめながらクライドは自分で作成した爆弾の炎に包まれ、自ら命を落とすのであった。 == キャスト == ※括弧内は日本語吹き替え * ニック・ライス - ジェイミー・フォックス(藤原啓治) * クライド・シェルトン - ジェラルド・バトラー(森田順平) * ジョナス・キャントレル - ブルース・マッギル(楠見尚己) * サラ・ローウェル - レスリー・ビブ(恒松あゆみ) * ダニガン捜査官 - コルム・ミーニイ(中村浩太郎) * 市長 - ヴィオラ・デイヴィス(林りんこ) * ケリー・ライス - レジーナ・ホール(さがらえみ) 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「完全なる報復」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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