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官房学[かんぼうがく]
官房学(かんぼうがく、)は、17世紀から18世紀のドイツで発展した学問。「カメラリズム」(, ) とも称する。 官房学は今日の行政学(警察学)、経済学・財政学にほぼ相当する内容をもつが、実際にはそれよりもはるかに広範な経世論・政策論的領域を対象分野としている。また後述するように、この学を成立させた社会的背景から「重商主義のドイツ版」とする評価もある〔例えば「官房学派に於ける財政思想」箕浦格良(立命館経済学)PDF-P.15〕。 == 概要 == 官房学の「官房」(独:Kammer)は、ラテン語の "camera"(部屋・国庫)に由来する言葉で、当時のドイツでは領邦議会を意味した。ウェストファリア条約後の神聖ローマ帝国の事実上の解体により、各領邦の議会は自らの領邦を政治的・経済的に自立させるべく、公的な支配地域の管理・行政を掌握した。そのためには、いかにして君主の国庫を富ませるかという技術的方法論が必要となった。 こうしたことから各国・各領邦の経済の行政・管理に関する諸原理の体系をまとめる学問を「官房の学」と称するようになり、これを研究する学者を官房学者(カメラリスト、独:der Kameralist)と称した。以上のような経緯から官房学の思想はイギリスやフランスで発展した重商主義的経済理論と同様の背景から成立したものであるといえる。 18世紀になりいわゆる啓蒙専制君主の時代が到来すると、多くの領邦君主は支配者の福祉と臣民の福祉を同一視した「公共の福祉」を標榜するようになり、彼らに奉仕する官房学者たちも幸福主義(幸福促進主義)の国家理念を実現するべく邁進した。この際、国家の作用として重視されたのが、社会に対するさまざまな形での干渉を意味する「ポリツァイ」(Polizei) である。ポリツァイはしばしば「警察」と訳されるが実際には広義の福祉行政を意味しており、福祉国家 (Wohlfahrsstaat) とはすなわち「警察国家」(Polizeistaat) であると理解された。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「官房学」の詳細全文を読む
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