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実体関連モデル(じったいかんれんモデル、)は、概念的データモデルの高レベルな記述を可能とするモデルの一種である。また、実体関連モデルによって具体的なシステムのデータモデルを図で表現したものを実体関連図()あるいはER図と呼ぶ。本項ではピーター・チェンの1975年の論文で提唱された技法を中心に解説する〔"The Entity Relationship Model: Toward a Unified View of Data" for entity–relationship modeling.〕。ただし、同様のアイデアはそれ以前から存在し〔A.P.G. Brown, "Modelling a Real-World System and Designing a Schema to Represent It", in Douque and Nijssen (eds.), ''Data Base Description'', North-Holland, 1975, ISBN 0-7204-2833-5.〕、実体と関連を扱う様々な派生モデルが考案されている。 == 概要 == ERモデルは、データベース、特に関係データベースを抽象的に表現する手法の1つである。関係データベースは表にデータを格納し、表内の一部のデータは他の表内のデータを指している。例えば個人情報のデータベースでは、ある個人のエントリが当人のいくつかの電話番号のデータを指している構成になっていることがある。ERモデルでは、その個人のエントリが1つの「実体」(entity) であり、電話番号も「実体」で、それら実体間に 'has a phone number' という「関連」(relationship) が存在するという見方をする。そういった実体や関連を設計する際に作られる図が実体関連図またはER図である。 三層スキーマをソフトウェア開発に使用する場合、三層それぞれに対応するERモデルが構築される。 ; 概念データモデル : 詳細さという面では最も大まかだが、モデルセットに含めるべき全体像を明らかにするという役割を担う最も上位のERモデル。概念ERモデルは通常、組織が使用するマスタ参照データ実体を定義する。組織全体の概念ERモデルを開発することで、組織のの文書化に役立つ。概念ERモデルは1つ以上の論理データモデルの基盤として使うことができる。概念ERモデルのその際の目的は、論理ERモデル間でマスタデータ実体の構造的メタデータの共通性を確立することにある。概念データモデルは、データモデル統合の基盤としてERモデル間の共通性確立に使われることもある。 ; 論理データモデル : 異機種混合の単一のシステムを対象として論理ERモデルを構築するなら、概念ERモデルは特に必要とされない。論理ERモデルは概念ERモデルよりも詳細である。マスタデータ実体に加え、運用上および業務上のデータ実体も定義する。各データ実体を詳細化し、それらデータ実体間の実体関連を確立する。ただし、論理ERモデルの実装にはそれぞれ独立の技術が使用される。 ; 物理モデル : 1つの論理ERモデルに対応して1つ以上の物理ERモデルが作られる。物理ERモデルは通常、そのままデータベースとして実体化される。したがって物理ERモデルにはデータベースを作るのに十分な詳細さが必須であり、個々の物理ERモデルは対応するデータベース管理システムの仕様に影響される。物理モデルは通常、構造化メタデータをデータベース管理システム上の関係データベースオブジェクト(表、主キーなどの索引、外部キー制約などのデータベースの制約)として実装できるよう設計が進められる。物理ERモデルは関係データベースの改造の際にもよく使われる。 情報システム設計の第一段階(要求分析)でこれを使い、必要な情報を洗い出し、それら情報をデータベースに格納する際の型を決定する。データモデリング技術は、任意の議論領域についてオントロジー(すなわち、使用する項目とその関連を分類し概観すること)を記述するのに使用可能である。データベースを基盤とする情報システムの設計では、概念データモデルを論理設計などと呼ばれる後の工程で関係モデルなどの論理データモデルにマッピングする。関係モデルはその後さらに物理的設計時に物理的モデルにマッピングされる。ただし、設計工程の呼び方は様々であることに注意されたい。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「実体関連モデル」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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