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富士城 : ウィキペディア日本語版
大宮城 (駿河国)[おおみやじょう]

大宮城(おおみやじょう)は駿河国大宮(現在の静岡県富士宮市)に存在した日本の城である。別名富士城〔永禄12年7月5日「今川氏真感状」(『戦国遺文今川氏編第3巻』2411号文書)、元亀元年6月29日「北条氏康書状写」(『戦国遺文後北条氏編』1428号文書)他〕。
== 概要 ==
大宮城の築城は、中世に富士郡の国衆である富士氏によって行われたとされるが、詳しい築城年は不明である。今川氏により富士氏が大宮城の城代に任ぜられていることから〔永禄4年7月20日「今川氏真判物」(『戦国遺文今川氏編第3巻』1724号文書)〕、戦国期には今川氏が管理する城であったと考えられている。このように戦国時代に大宮城は、甲駿国境の押さえの城としての主要な機能を果たしていた。永禄3年(1560年)の桶狭間の戦いによる今川義元敗死を契機に今川領国は動揺し、それまで同盟関係にあった甲斐武田氏との関係も険悪化した。永禄11年(1568年)に甲駿関係は手切となり、武田氏による今川領国への侵攻が行われた(駿河侵攻)。また今川氏の没落により、富士氏は後北条氏の庇護を受ける事となった〔永禄11年12月19日「北条氏政判物」、(『戦国遺文後北条氏編第2巻』1125・1126号文書)〕。
駿河侵攻の際、大宮城城主である富士信忠らが大宮城に拠り武田勢に抵抗した。武田氏による大宮城への攻撃は三度行われた。一度目は永禄11年(1568年)12月、二度目は永禄12年(1569年)2月、三度目は永禄12年6月25日である〔元亀2年10月26日「今川氏真判物」(『戦国遺文今川氏編第4巻』2493号)には23日とあるが、「北条氏政書状」・永禄12年6月28日「北条氏照書状写」(『戦国遺文後北条氏編第2巻』1270号)には25日とある。これについて前田利久は「戦国大名武田氏の富士大宮支配」の中で、氏真感状は籠城から2年経過した後に出されたものであり、当時出された氏政や氏照の書状の25日の方が信憑性が高いとしている〕。一度目と二度目の攻防戦では大宮城は落とされず、二度目は近接する河内領主の穴山信君や武田方に帰属した駿河国衆葛山氏元の連合軍を撃退する事にも成功するなど、対抗勢力としての役割を果たした。また、同じ富士郡の在地勢力である井出氏なども籠城戦に参加したという〔大久保俊昭、『戦国期今川氏の領域と支配』、61-73項〕。
三度目での攻防戦では、武田信玄率いる本隊の攻撃に遭った。6月に信玄は大軍を率いて御殿場から駿河に入り、三島・韮山を進んだ後に進路を西にとり大宮へ向かった。大宮は駿府への進入口の重要な部分であり、大宮を落として進路あるいは退路を確保する必要があったためである。この際の戦について北条氏照の書状には「敵二千人手負死人仕出候」とあり〔「北条氏照書状写」『戦国遺文後北条氏編第2巻』1277号〕富士氏は善戦したものの、信玄本隊による攻撃に苦戦を強いられた。また北条氏政はこの時援軍を送ることができず、富士氏に3通の文書を送り退城を勧めた〔前田利久、「戦国大名武田氏の富士大宮支配」、65項〕。また同時に武田氏側との交渉を行い、穴山信君とで開城の交渉が進められ〔永禄12年7月2日「武田信玄書状」(『戦国遺文武田氏編第2巻』1427号文書)〕、7月3日には開城した〔永禄12年7月3日「武田信玄書状写」(『戦国遺文武田氏編第2巻』1428号文書)〕。しかし富士氏は開城はしたものの、直ぐには武田氏に降りなかったという〔前田利久、「戦国大名武田氏の富士大宮支配」、65項〕。その後富士信忠が甲斐に赴き、武田氏に帰属することが明確となった。
その後の富士郡に対しては譜代家老原昌胤や市川昌房が取次を務めており、昌胤は大宮城代であったと考えられている。武田家滅亡後は徳川家康が駿河を確保したが、天正10年(1582年)に焼失したという〔 Shizuoka城と戦国浪漫 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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