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対称群 : ウィキペディア日本語版
対称群[たいしょうぐん]

対称群(たいしょうぐん、)とは、「ものを並べ替える」という操作をとするである。この場合の「ものを並べ替える」操作のことを置換(ちかん、)という。数学の議論の様々な場面で「番号づけられて並んでいるものを入れ替える」「入れ替えの可能性すべてを調べる」ことが問題となり、対称群はそのような議論を定式化するために用いられる。置換のうちで特別なものだけを集めて得られる群は置換群(ちかんぐん、)と呼ばれる。
対称群 ''S''''X'' が空間 ''X'' の変換群として与えられているとき、''X'' の元 ''x'' の置換は Stab(''x'') = で与えられる ''S''''X'' の部分群の分だけ潰れているが、これは ''X'' のなかに ''x'' と「同じ」元が複数含まれている場合に対応しており、''X'' の中でこれらを区別することができれば ''X'' の元の置換から対称群 ''S''''X'' が回復される。
== 定義 ==
集合 ''I''''n'' = に対し、''I''''n'' から ''I''''n'' への全単射全体の集合は写像の合成を積としてになることがわかる。これは ''n''-次の対称群と呼ばれ、
: S_n,\quad \Sigma_n,\quad \mathfrak_n,\quad \text(n)
などで表される。''S''''n'' の元は ''n'' 次の置換と呼ばれる。
''n''-次対称群の位数は ''n''! である。
''X'' を有限集合とするとき、''I''''n'' の場合と同様にして ''X'' から ''X'' への全単射全体の集合を Sym(''X'') とおくと、写像の合成を積として Sym(''X'') は群になる。このとき、Sym(''X'') は ''X'' の対称群と呼ばれる。有限集合の間の単射 ''X'' → ''Y'' に対して対称群の間の単射 Sym(''X'') → Sym(''Y'') が自然に定まる。
特に、''X'' の位数(含まれるの個数、濃度)が ''n'' のとき、''X'' と集合 ''I''''n'' とのあいだに全単射が存在するので両者を同一視することにより、Sym(''X'') と ''S''''n'' とは群として同型になる。この(全単射の取り方に依存する)群の同一視は次のように理解できる。''I''''n'' から''X''への全単射は ''I''''n'' による ''X'' の元の番号付けによって、または''X''の元を数え上げる列 (''x''1, ''x''2, ..., ''x''''n'') によって表される。このとき ''n'' 次置換 σ は点 ''x''''i'' を点 ''x''σ''i'' に移すような写像、つまり点列 (''x''1, ''x''2, ..., ''x''''n'') をの順序を (''x''σ1, ''x''σ2, ..., ''x''σ''n'') へと入れ替える写像として具体的に理解することができる。この写像に対応するグラフは、組 (''x''''k'', σ(''x''''k'')) を ''k'' = 1, 2, ..., ''n'' に対して集めた有限集合であり、これはしばしば
:\beginx_k\\ \sigma(x_k)\end,\quad
\beginx_1 & x_2 & \cdots & x_n\\
\sigma(x_1) & \sigma(x_2) & \cdots & \sigma(x_n)\end

あるいは
:
\beginx_k\\ x_\end,\quad
\beginx_1 & x_2 & \cdots & x_n\\
x_ & x_ & \cdots & x_\end,\quad
\begink\\ \sigma(k)\end

のように記される〔これはグラフであって、表示が似ているからと言ってベクトルや行列ではない。また、実際には前者(点の入れ替え)と後者(番号の入れ替え)は双対の関係にあり、ちょうど σ−1(''x''''k'') と ''x''σ(''k'') が、あるいは σ の右作用と左作用との入れ替えが対応する。〕。後者の記法は番号の入れ替えとしての σ の表示を与えており、この二つの記法の対応が集合''X'' と集合 ''I''''n'' との同一視の仕方(全単射の選び方)に応じた Sym(''X'') と ''S''''n'' = Sym(''I''''n'') との間に定まる群の同型対応を具体的に与えている。
無限集合についての対称群にあたるものとして二つの異なった概念が挙げられる。ひとつめの概念は有限集合 ''X'' に対する Sym(''X'') の構成をそのまま拡張し、有限とは限らない集合 ''Y'' に対しても ''Y'' から ''Y'' への全単射全体のなす群を考えることによって得られる。もう一つのより繊細な概念は、有限とは限らない集合 ''Y'' に対して、その有限部分集合全体のなす族 F を考え、有限対称群たち Sym(''X'') (''X'' ∈ F) の直極限
:\varinjlim_ \mathrm(X)
として得られる群である。この二つの定式化は有限集合に対しては自然に同型な群を与えている。自然数の集合 N に対して二つ目の方法を適用して得られる群は ''S'' と書かれ、無限対称群と呼ばれる。これは ''S''''n'' たちすべての合併と見なすことができる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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