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専攻科(せんこうか、)は、当該種別の学校の卒業生もしくはそれと同等以上の学力を有する者に対して、精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的として学校に設けられる課程のことである。修業年限は、1年以上である。 後期中等教育以降の学校で、学校教育法の第1条に規定する学校に設けることができ、具体的には高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、短期大学、高等専門学校に設けることができる。 短期大学、高等専門学校、中等教育学校や高等学校の専攻科のように上級教育課程への接続制度があるものと、大学のように上級課程への接続(大学編入学や博士後期課程への入学)制度がないものがあり、専攻科の位置付けは明確ではない。 == 各学校における専攻科 == === 高等学校・中等教育学校 === * 高等学校専攻科(Upper secondary school, advanced course) - ISCED-4レベル・平成27年法改正後の基準を満たしている専攻科はISCED-5Bレベル 高等学校や中等教育学校に設けられる専攻科は、主に工業・水産・保育・福祉などの専門教育分野を深めることと、社会人の再教育を目的としている。 特に実習に必要な施設・設備は、大学などの高等教育機関を除くと、専門学科のある高等学校や中等教育学校しか有していないこともある。そのため、教育水準は比較的高度である。 専攻科には免許取得のための課程もある。 例えば、看護師免許については、准看護師養成課程の3年制(定時制課程・通信制課程では3年以上)の専門学科の衛生看護科(本科)を卒業し、その後、看護師養成課程の2年制の専攻科を修了することにより、高校で、看護師の国家試験の受験資格を得ることができる。最近では、本科の衛生看護科と専攻科が一体となった、5年制一貫で看護師養成教育をおこなう看護科を設置する高校もある(千葉県立幕張総合高等学校など)。〔この場合、3年次修了時に卒業して、専攻科に進まない選択もできるが、そのときは、准看護師などの看護職の受験資格は得られない。〕 海技士免許については、全国の水産高校の本科卒業後、2年制の専攻科を修了することにより、海技士 (航海)(船長、航海士免許)、海技士 (機関)(機関長、機関士免許)、海技士 (通信)(通信長、通信士免許)の筆記試験が免除となり口述試験のみで取得可能。 専修学校や各種学校と異なり、学校教育法の第1条に規定する正系の学校であり、設置基準も高等学校設置基準やその他の法令により厳しいものであるが、2016年3月までは、高等教育機関と特別に連携していない限り、修了者は大学などに編入学することはできず、この点については既に編入学が認められている短期大学・高等専門学校・一定の要件〔学修期間2年以上、かつ総授業時間が1700単位時間以上であり、試験により成績評価を行っている事等。〕を満たした専修学校の専門課程と比べて不利である。〔但し、高校専攻科で取得した単位の内容によっては学修期間の短縮はないものの、各大学の判断により入学後に単位が認定される場合がある。〕 但し、平成27年6月24日に公布され平成28年4月1日より施行される改正学校教育法により、施行日以降は「修行年限が二年以上であることその他の文部科学大臣が定める基準を満たす」専攻科の修了者は大学編入学が認められる。〔文部科学大臣の定める基準は、既に大学編入学が認められている専修学校専門課程と同等の基準を参考に定められる予定である。(2015年7月現在)〕〔基準を満たす専攻科であれば、施行日以前の修了者も大学編入学の対象となる。〕〔改正法の施行日(平成28年4月1日)に編入する者の編入学試験について、施行日以前に実施することが認められてる。〕〔「文部科学大臣が定める基準」を満たしていない専攻科については、平成28年4月1日以降も大学編入学の対象とならないため、高校卒業後の進路として専攻科を選択する場合は十分に調べた上で入学する必要がある。〕 また、かつては地方公共団体・学校法人が短期大学を設立する際に、そのステップとして運営する高校に2年制専攻科を設置し、短期大学設置基準などを満たした上で専攻科から短期大学へ移行させる例も見られた。〔例として、公立短大では大分県立別府緑丘高等学校(現在の大分県立芸術緑丘高等学校)の専攻科を母体に設立された大分県立芸術文化短期大学、私立ではカリタス女子高等学校(現在のカリタス女子中学校・高等学校)の専攻科を母体に設立されたカリタス女子短期大学がある。〕 なお、鳥取県の鳥取東高校、倉吉東高校、米子東高校等には大学受験目的の専攻科が設置されてきた。〔島根県等ではPTA立補習科が過年度生の受験教育を行っている。〕これらは、かつて鳥取県には大学受験予備校がほとんど存在しなかったという事情があった。しかし鳥取県でも相次いで予備校が設立され、予備校側が鳥取県教育委員会に専攻科の廃止を要望しており、2004年に私立鳥取城北高校の専攻科が廃止されたことから、鳥取県教育委員会では専攻科を縮小・廃止する方針を決定し、2006年に鳥取東高校、倉吉東高校、米子東高校の専攻科は規模を縮小(定員を削減)し、授業料を値上げした。2008年、鳥取東高校専攻科の年度限りでの廃止と、倉吉東高校と米子東高校の2校については2010年度まで2年間存続、その後の存廃は2010年度までに結論を出すことに決定。その後議論を経て、2012年度末で両校とも廃止した。このケース専攻科は、専攻科設置の法令上の拡大解釈との見解もあった(大学受験目的の学習を教科書レベルよりやや進んだ専攻科の学習内容との解釈)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「専攻科」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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