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小児経[しょうにけい]
小児経(、、、注音符号:、)は、アラビア文字を組み合わせて、中国語(主に蘭銀官話、中原官話及び東北官話)の発音を表す非公式の表音文字である。小児錦( / 、xiǎorjǐn)、小経( / 、xiǎojīng)、消経( / 、xiāojīng)とも称される。主に中国国内のイスラム教徒である回族、トンシャン族(東郷族)、サラール族(撒拉族)の子弟に対するコーラン教育に使用した。小児経は中国語音を表記した文字(中国語表音法)としては古いものに分類される。 小児経の文字は他のアラビア語系と同様に右から左に書かれる。しかし長母音以外の母音表記を重視しないアラビア語と異なり、全ての母音を明確に表記する傾向があり、これはウイグル語と同様の特徴を有している。これは中国語が母音を重視する傾向が強い影響とあると考えられる。これに対し声調の表記は存在していない。 == 名称 == 小児経は規則化された標準的な文字システムが確立していないばかりか、統一された名称も存在していない。標題で使用している「小児経」というのは陝東、山西、河北、河南、山東、北京、天津及び東北地区で一般的に使用されている名称であり、「小経」或いは「消経」と簡称されている。これに対し寧夏、甘粛、内蒙古、青海及び中国北西部では小児錦と称され、「小錦」と簡称されている。またトンシャン族は東郷文或いは回回文と、サラール族では撒拉文と称され〔サラール語には、サラール語用のアラビア文字表記があるが、これも同一地域の小児経と字母・書記法の面で共通点が多い。(『周辺アラビア文字文化の世界-規範と拡張』2004.3、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所発行)〕、また中央アジアのカザフスタン、キルギスタンなどに居住しているドンガン人(回族)の間では1928年にラテン文字が導入される以前、小児経に類似した文字を使用しており、回文と称されていた。 華北一帯では一般に小児経は中国語でピンインや注音が導入される以前、教育を行なう際の漢字の音を表す一種の道具とみなされており、それが小児経の名称の由来になったと考えられている。小児錦は小児経が転訛したものであり、本来「経( / 、jīng)」という字音であるが、中国北西部では韻尾のngとnの区別がなく、また、上声を高平調で発音するため、「錦( / 、)」になったものと考えられている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「小児経」の詳細全文を読む
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