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小雲取越 : ウィキペディア日本語版
雲取越え[くもとりごえ]
雲取越え(くもとりごえ、大雲取小雲取越え〈おおぐもとりこぐもとりごえ〉)は熊野那智大社和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)と熊野本宮大社(和歌山県田辺市本宮町本宮)とを結ぶ参詣道。熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)への参詣道、熊野古道中辺路の派生ルートのひとつ。熊野那智大社から、その後背にそびえる那智山を越えて赤木川の河谷に至るまでを大雲取越え(おおぐもとりごえ)、赤木川から熊野本宮大社に至るまでを小雲取越え(こぐもとりごえ)と呼ぶ。
熊野古道中辺路は熊野本宮大社に達した後、熊野三山を巡拝する道となる。平安時代後期から鎌倉時代初めにかけて確立した中世熊野詣における通常の巡拝ルートは、熊野本宮大社から熊野川を下って熊野速玉大社に、ついで陸路で熊野那智大社に詣でてから、同じ道をたどって熊野本宮大社に帰参するもので〔小山46 〕、中世の参詣記における三山巡拝は以上のルートをとっている。しかし、那智山から本宮までの経路としての熊野川は舟賃を要するうえ、大雨の後などは航行困難ないし不能となる。そのため、修行者や庶民が通行する道として山間部をぬって本宮と那智を結ぶ道が早くから存在したと考えられている〔和歌山県教育委員会41 〕。それが雲取越えの道である。このように、中世における雲取越えは派生ルートとして位置づけられるが、西国三十三所が定着する室町時代以降には、西国三十三所をめぐる巡礼者や旅人が盛んに往来する主要ルートとなった〔小山157 〕。
一部は国の史跡「熊野参詣道」として指定されている。世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道」(2004年7月登録)の構成資産の一部である〔世界遺産登録推進三県協議会39,75 〕。
== 歴史 ==

前述のように中世熊野詣における雲取越えは派生ルートとしての性格を持つが、院政期の熊野詣のなかにも雲取越えの道をたどって本宮へ直行する例があり、建仁元年(1201年)の後鳥羽院の4回目の参詣がその例である〔。その様子は、随行した藤原定家により「熊野道之間愚記」(『明月記』所収)に記録されている。
後鳥羽院一行が雲取越えをたどった事情は定かではない〔。一行は朝から降り続く大雨をついて出発し、那智から本宮までを一日で越えている〔小山44-46 〕 が、雲取越えを1日で越えることは今日でも困難なことである〔小山157 、宇江34-45 など〕。定家は、笠をかぶり蓑を着て輿に乗っていたにもかかわらず、輿の中でずぶ濡れになり、本宮に着いたときには「前後不覚」となったと記し、厳しい一日であったことを伺わせる〔小山159-160 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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