|
尺(しゃく)は、尺貫法における長さの単位である。東アジアでひろく使用されている。 日本では、明治時代に1尺=(10/33)メートル = 約303.030 mm(曲尺(かねじゃく)の場合)と定義された〔度量衡法、明治二十四年(1891年)三月二十四日法律第三號、第二條、「白金、「イリヂウム」合金製ノ棒(中略)ノ面ニ記シタル標線間ノ攝氏〇、一五度ニ於ケル長サ三十三分ノ十ヲ尺トシ」とある。〕〔計量法施行法(1951年6月7日法律第208号 廃止:1993年11月1日)第4条第1項による定義〕。鯨尺(くじらじゃく)は、曲尺の1.25倍であり、約 378.788 mm である。中国では、1尺=(1/3)メートル(約333.333mm)と定義している。 尺貫法の長さの基準となる単位であり、転じて物の長さのことや物差しのことも「尺」と呼ぶようになった。 日本では、1958年制定の計量法で尺貫法は計量単位としては廃止され、1966年4月1日からは商取引など(取引又は証明)における使用が禁止された。ただし、木造建築や和裁の分野での利用の便に資するため、尺・寸に変わるものとして、1/33m(尺相当)や 1/26.4m(鯨尺尺相当)の目盛り〔 15/26.4mの数値が刻印されている。〕を付した「尺相当目盛り付き長さ計」(尺に当たる、メートル法による目盛りが付された物差し)が認められている。詳細は、尺貫法#尺相当目盛り付き長さ計を参照のこと。 人体の骨格の尺骨は、この尺とほぼ同じの長さであることに由来する。 == 歴史 == === 中国の尺 === 「尺」という文字は親指と人差指を広げた形をかたどったものであり、元々は手を広げたときの親指の先から中指の先までの長さを1尺とする身体尺であった。この長さはおおむね18cmくらいであり、現在の尺の6割くらいの長さである。 身体尺は人によって長さが異なるので、後の時代に一定の長さを1尺とする公定尺を定めるようになった。しかし、公定尺は時代を下るにつれて長くなっていた。これは民間で使われる単位が長くなっていったため、時の政権もそれを追認する形で公定尺を改訂したものである。尺の長さを長くすることで尺を基準にして納める税(反物など)がより多くとれるからとする説もある。 尺という単位は古代中国の殷の時代には既にあったとされている。古代の1尺の長さは正確にはわからないが、出土文物からの推測では、戦国から秦にかけての1尺は23cm前後であった。漢代でもあまり変わらず、23-24cm程度であった。文献によると周の尺はその8割ほどの長さ(約20cm)であった〔『説文解字』夫部「夫、丈夫也。从大、一以象簪也。周制以八寸為尺、十尺為丈。人長八尺、故曰丈夫。」〕。 1尺の長さが長くなったのは南北朝時代の北朝においてである〔『隋書』律暦志に南北朝時代の度量衡の変遷が見える〕。隋代には、一般に使われる長い尺を大尺、旧来の短い尺を小尺として制定し、唐でもそれを継承した。大尺は小尺の1.2倍にあたる。唐の大尺は、日本の正倉院蔵の尺の長さの平均によって29.6cm前後と推測されている。唐代以後は小尺は使われなくなった。 明・清には営造尺・量地尺・裁衣尺など、用途によってさまざまの種類の尺があった。康熙帝時代の1713年に営造尺の標準化が行われた。この営造尺は清朝滅亡後の1915年にメートル法との対応が1営造尺 = 32cmと定義された。営造尺は1929年に廃止され、かわりに市制として 1尺 = m(約33.3 cm)と定められた。これが中華人民共和国でも引き続き用いられている。したがって、現在の中国の1尺は日本の1尺1寸(ちょうど)にあたる。台湾では、日本式の尺を「台尺」と呼ぶことがある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「尺」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|