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尾栓 : ウィキペディア日本語版
尾栓[びせん]

尾栓(びせん)は、の筒状の部分の末端を密閉する構造のことである。火縄銃では銃身の後端にはめ込まれたネジを指すが、後装式大砲の場合には開け閉めが可能な機械装置となっており閉鎖機(ないし閉鎖器)と呼ばれている。
==概要==
古来の単純な銃火器などでは、筒に火薬を詰め、外部から小さな穴を通じて筒内の火薬を燃焼させ、火薬の前に装填された弾丸を燃焼ガスの膨張力で弾き飛ばすという先込めと呼ばれる構造であった。その燃焼ガスが銃の後方から外部へ逃げないようにするには物理的に塞いでおく必要があるが、これを銃身内に切った雌ネジに合うように作られた雄ネジによって密閉した。これが尾栓である。先込め式の銃や砲には必ず後端に尾栓がはめ込まれていた。
この尾栓は銃身の内部から火薬の燃焼カスや熱や摩擦で溶けて付着した弾丸の残りカスを取り除くための掃除の際に、取り外すことが可能である。連続発射した銃器の内部に付着したこれらの「残りカス」をそのままにしておくと、弾丸が発射されずに銃身が詰まり、破裂するおそれもあるため、この尾栓が外せるのは重要な仕組みであった。ちなみに、日本に火縄銃が伝来した当時の日本の鍛冶職人たちは、ネジという概念を理解できずに溶接で済ませようとしたがカスがたまって尾栓が吹き飛んだり、熱によって銃身が曲がったりする事故に見舞われている。後に雄ネジをやすりで削り出し、この雄ネジを入れた状態で銃身後部を鍛造することで雌ネジを切るという方法で解決した。
現在の拳銃などでは薬莢が銃身後部を塞ぐ形となっているが、小銃(俗に言うライフル銃)ではボルトアクションライフルの出現以降は遊底(薬室に実包を送り込み固定する可動式の尾栓)が主流となっている。自動小銃では手でレバー操作していた遊底を機械装置で動作させ、連続発射するまでになっている。
この構造は大砲でも概ね似たような経緯で変化しており、現在の後装砲では尾栓の代わりに閉鎖機と呼ばれる機構が使われている。しかしこの閉鎖機もしばしば尾栓と表現され、主に、尾栓を砲身にねじ込む螺旋式 (screw breech) と、直角方向にスライドさせる鎖栓式 (sliding block breech) がある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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