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山口左仲 : ウィキペディア日本語版
山口左仲[やまぐち さちゅう]

山口 左仲(やまぐち さちゅう、1894年4月21日 - 1976年3月11日)は、日本の寄生虫学者。医学博士理学博士。寄生蠕虫類(吸虫条虫線虫鉤頭虫など)の形態・分類学に関する多くの業績を残した。
== プロフィール ==
長野県南佐久郡小海村(現・小海町)で代々造り酒屋を営んでいた黒澤家の五男として生まれる。
小海村小学校を卒業後、東京の旧制早稲田中学校に進学。医学に進んだ動機は不明だが、1918年(大正7年)に岡山医学専門学校を首席で卒業し、銀時計を授与される。しかし、自分は医者には不向きと考え、同年、同郷の山極勝三郎教授を東京帝国大学医学部に訪ねて病理学教室に入室し、7年間を過ごす。
京都の実業家の山口玄洞から養子の誘いがあり、1925年(大正14年)に玄洞の養女・幾子〔玄洞の姪、弟・随三郎の二女。人事興信所編『人事興信録』第10版 下、1934年、ヤ75頁。〕の婿養子として京都に移る。新婚旅行を兼ねてヨーロッパへ留学し、病理学の研究施設を見学。この頃に寄生虫学に関心を持ち、ハンブルグ熱帯病研究所でFülleborn教授に講習を受ける。
動物寄生虫の研究のため動物学を学ぶ必要を感じ、帰国後、1927年(昭和2年)京都帝国大学理学部動物学教室に入室。身分は講師であったが、学生と共に講義を聴講した。1934年(昭和9年)に動物学教室に特別研究室(寄生虫研究室、鉄筋コンクリート造り2階建)を寄贈している。この頃に多くの書籍や論文から寄生蠕虫類の原著・原図の引き写しを助手の画家数名と共に行ない、6~7年をかけて『虎の巻』として自らの手で寄生蠕虫類および寄生性カイアシ類の図鑑十数冊を作成し、それらを基に論文の執筆を開始した。
1943年(昭和18年)セレベス島マカッサル日本海軍省熱帯衛生研究所に海軍技師として勤務し、多数の標本を収集した。終戦後は、進駐軍第207部隊マラリア調査部の依頼で蚊の研究を行ない、共同でモノグラフを執筆。
1950年(昭和25年)岡山大学教授に着任(寄生虫学初代教授)。この頃に『虎の巻』を本にしようと考え、1954年(昭和29年)~1955年(昭和30年)に文献調査のためフルブライト資金によりアメリカ・メリーランド州ベルツヴィルの農務省農事研究所動物寄生虫部へ留学。帰国後、'Systema Helminthum'吸虫編(1958)・条虫編(1959)を完成させる。1959年(昭和34年)10月に岡山大学を停年退職後、1960年(昭和35年)にアメリカ National Science Foundation の資金により再びアメリカ農務省農事研究所動物寄生虫部へ留学。引き続き'Systema Helminthum'線虫編(1961)・単生類/楯吸虫編(1963)・鉤頭虫編(1963)を執筆。
1962年(昭和37年)~1966年(昭和41年)ハワイ大学客員教授として、ハワイ海洋研究所にて研究に従事。助手として亀谷俊也(亀谷了の子息、寄生虫学者。目黒寄生虫館二代目館長)が同行した。1966年(昭和41年)からは再びアメリカ農務省農事研究所、1968年(昭和43年)からテュレーン大学にてハワイの魚の単生類・二生類吸虫の研究をまとめ、出版した。1969年(昭和44年)に帰国し、吸虫類に関する総説2編を出版した。'Systema Helminthum'以降の論文・書籍に描かれた多数の寄生虫の図版は、妻の幾子と亀谷俊也によるものである。
1976年(昭和51年)3月、京都にて逝去。
「自分の仕事は百年後にも残るから、最高の印刷、最高の図版を必要とする」として、自らは標本の作製・観察と、論文や書籍の執筆に専念し、精緻な描画は助手の画家たちに任せた。子息の山口昇(寄生虫学者)は「もし父が指先器用で図の墨入れまでやっていたら、論文の数は現実の三分の一以下であったろう」と語っている〔目黒寄生虫館ニュース 第121号(1976) 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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