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蓑火(みのび)は、近江国(現・滋賀県)彦根に伝わる怪火。 == 概要 == 旧暦五月の梅雨の夜などに、琵琶湖を人の乗った舟が渡ると、その者が雨具として身に着けている蓑に点々と、まるでホタルの光のように火の玉が現れる。蓑をすみやかに脱ぎ捨てれば蓑火も消えてしまうが、うかつに手で払いのけようとすれば、どんどん数を増し、星のまたたきのようにキラキラと光る〔水木しげる 『妖鬼化 3 近畿編』 Softgarage、2004年、134頁。ISBN 978-4-86133-006-3。〕。 琵琶湖で水死した人間の怨霊が姿を変えたものともいわれるが、井上円了の説によれば、これは一種のガスによる現象とされる〔。 同種の怪火は各地に伝承があり、秋田県仙北郡、新潟県中蒲原郡、新潟市、三条市、福井県坂井郡(現・坂井市)などでは蓑虫(みのむし)、蓑虫の火(みのむしのひ)、蓑虫火(みのむしび)、ミノボシ、ミーボシ、ミームシなどという。信濃川流域に多いもので、主に雨の日の夜道や船上で蓑、傘、衣服に蛍状の火がまとわりつくもので、慌てて払うと火は勢いを増して体中を包み込むという。大勢でいるときでも一人にしか見えず、同行者には見えないことがあり、この状態を「蓑虫に憑かれた」と呼ばれる。逆に居合わせた人々全員に憑くこともあり、マッチなどで火を灯すか、しばらく待てば消え去るという。中蒲原郡大秋村では、秋に最も多く出るという〔。 北陸地方の奇談集『北越奇談』などには福井県坂井郡の蓑虫の記述があるが、これは怪火ではなく、雨の夜道で傘の水滴が目の前に垂れ下がり、手で払おうとすると脇によけ、次第に水玉が大きくなり、数を増して目をくらますものという。正体は狸の仕業ともいわれ、石屋や大工には憑かないという特徴がある。また秋田県仙北郡角館町(現・仙北市)付近では、蓑虫は寒い晴れの日、蓑や被り物の縁に光が付着して、手で払っても消えないものだという。これらの怪異は新潟県ではイタチ、三条市では狐、坂井郡では狸の仕業とされる〔。 安政時代の書物『利根川図志』にも、これらと同種の怪火である川蛍(かわぼたる)がある。これは千葉県印旛沼で、主に雨の日、夜中に高さ1-2尺(約30-60センチメートル)の空中にホタルのような光が漂うというものである。沼の上に出した舟の中に入ってくることもあり、力まかせに叩くと船一面に砕け散り、火のように燃えることはないものの、非常に生臭い悪臭と、油のようにぬるぬると気味の悪い感触が残り、洗ってもなかなか落ちないという。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「蓑火」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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