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巨狼[きょろう]
巨狼（きょろう、）とは、ファンタジー作家J・R・R・トールキンの作品『シルマリルの物語』中の世界中つ国の歴史に登場する悪魔の一種族である。
==概要==
姿かたちは大きさ以外はほとんど狼だが、言語能力や魔力を兼ね備え、その実態は動物の姿に身を変えた悪霊である。バルログ同様、冥王によって堕落させられたマイアだとも言われている〔巨狼の他にも、大鷲や竜、大カラスなど動物の姿をとるマイアと思われる者達が存在する。〕。第一紀、当時の冥王モルゴスの配下の一つとして現れ、次代冥王サウロンに仕え、中つ国の自由の民の危険に大いに加担した。後代に現れたワーグとどのような関連性があるのかは不明瞭だが、ワーグよりも遥かに巨大で強力だった。また、言語能力を受け継いでいるので後代の白狼との関係性も疑われ、"Fëar"と呼ばれるエル・イルーヴァタールより賜った魂を受け継いでいると思われる節もある〔The Silmarillion: Quenta Silmarillion, "Of Beren and Lúthien"〕。最初の個体はドラウグルイン。孤島トル＝イン＝ガウアホスを拠点に暴虐を尽くしていたが、時のルーシエンが運命の庇護を受けた神犬フアンを引き連れて攻め込み、「地上に類を見ないほどの強大な狼と戦い、かみ殺すまでは死なない」とフアンによって全滅させられた。サウロンもまた、魔狼の祖が倒れた後に自らも巨狼に変身して戦ったが〔この他、サウロンは己の配下の一つである大蝙蝠にもよく変化した。〕、結局は島からの敗走をせざるをえなかった。同時に、「隠密なる影の女」たる大吸血蝙蝠のスリングウェシル（Thuringwethil）〔これもまた悪霊が動物の姿を形成したものである。当時の中つ国には善悪双方に、己の姿を変えられるものが数多く存在した。〕や吸血鬼も滅ぼされ、他の怪物たちの中の悪霊共も完全に消え去った。
なお、毛皮を着るとその持ち主の巨狼に変化することが可能となる。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア（Wikipedia）』
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