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『幻の湖』(まぼろしのみずうみ)は、1982年に公開された日本映画。 == 概要 == 『砂の器』、『八甲田山』に続く、橋本プロダクション制作作品。1982年9月11日公開。原作・脚本・監督は、橋本プロ代表の脚本家、橋本忍。 主要登場人物の3名(ヒロインの道子、みつ、淀君)については、俳優経験を問わない一般オーディションが行われた〔小説版『幻の湖』(橋本忍著 1980年6月25日集英社)挟み込みの橋本プロのチラシによる〕。その結果、応募者1627人の中から道子役に南條玲子が選ばれ、女優としての本格的デビューを果たした。 「ネオ・サスペンス」と称し、雄琴のソープランド嬢の愛犬の死を発端とする壮大な物語が展開される大作であったが、あまりに難解な内容のため客足が伸びず、公開から2週間と5日(東京地区)で打ち切られることとなった。その際、その年の夏休み映画だったたのきんトリオの『ハイティーン・ブギ』『ブルージーンズメモリー』が急遽再上映されることとなった。この映画の5週後に続いて公開されるはずだった映画は、橋本と共に『八甲田山』を作った森谷司郎監督、高倉健主演の『海峡』である。都市部のロードショーのみで打ち切りとなったため、舞台である滋賀県の映画館では一度も上映されなかった。 以降、2003年にDVD化されるまで、名画座のレイトショー等でもめったに上映されず(東宝がフィルムを出したがらなかったためと言われる)、ビデオ化もテレビ放映もされなかったという、文字通り「幻の」作品だった。また、日本を代表する脚本家であった橋本は、この作品の失敗で映画界での信頼を失ったとされ、1986年頃に2本の映画の脚本を執筆した程度で、事実上の引退状態となった。 橋本自身も当初から脚本に自信が持てず、無理なシチュエーションや不自然なシチュエーションを強引にシナリオで押し通した結果「最後の仕上げでフィルムが全部繋がると、根本的な大きな欠陥と失敗が間違いなく露呈」したと後年認めており、大失敗と位置付けている。〔橋本忍「複眼の映像」(文藝春秋、2006)〕 1995年頃から、一部の映画評論本によって取り上げられるようになり、意味深とも意味不明とも取れる内容が新世代のファンにカルトな人気を呼び、現在では『シベリア超特急』(水野晴郎監督)、『北京原人 Who are you?』に並ぶ日本屈指のカルト映画として、前述のDVD化をはじめとした再評価がなされている。それと軌を一にしてか、橋本自身の映画人としての活動も復活しつつある(詳細については、橋本忍の項を参照のこと)。 東宝創立50周年記念作品〔この名目は本作固有のものではなく、たとえば『海峡』『ひめゆりの塔』『南十字星』といったこの年の他の東宝映画も東宝創立50周年記念作品として公開されている。〕 、第37回文化庁芸術祭参加作品。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「幻の湖」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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