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『幽女の如き怨むもの』(ゆうじょのごときうらむもの)は、三津田信三による日本の推理小説・ホラー小説。刀城言耶シリーズの第6長編。 単行本は、2012年4月23日に原書房〈ミステリー・リーグ〉より書き下ろしで刊行された。文庫版は、2015年6月12日に講談社文庫より刊行された。装丁は、単行本がスタジオ・ギブ(川島進)、文庫版が坂野公一(welle design)による。装画は単行本・文庫版ともに村田修が手がけている。 第66回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)で候補に選ばれている〔2013年 第66回 日本推理作家協会賞|日本推理作家協会 〕。「本格ミステリ・ベスト10」2013年版(国内部門)4位、『ミステリが読みたい! 2013年版』(国内編)1位、『このミステリーがすごい!』(2013年、国内編)4位など、各種ミステリ・ランキングで上位にランクインしている。 小説家の皆川博子は「本作で、言耶は怪異現象と身投げ事件の謎を一応論理的に解き明かすが、その一方で解き明かされない謎もある。虚と実がない交ぜられる手法は実に楽しい」と評価している〔『幽女の如き怨むもの』文庫版 解説〕。ときわ書房本店の宇田川拓也は「読者を戸惑わせるような結構に見せながら、実は巧妙な伏線や技巧を随所に施し、ラスト30ページで度肝を抜く衝撃を叩きつけてくる。どうにも腑に落ちないもやもやした感じが、刀城言耶が発する短い一文によって霧消する威力が凄まじい」と評価している〔幽女の如き怨むもの | 三津田信三 | 評者 宇田川拓也(ときわ書房本店、千葉県船橋市)|図書新聞 〕。 == あらすじ == === 第1部 花魁──初代緋桜の日記 === 1933年頃、桜子は、花魁になってお金を稼ぐために、13歳で故郷の村から桃苑(ももぞの)という廓町に出てきて、金瓶梅楼(きんぺいばいろう)という遊郭に連れて行かれた。初めのうちは、花魁になるための修行に勤しんだ。修行をしていた3年の間に、遊郭がいかに変わった世界であるかということに気づいていく。桜子は、花魁になる前に、花魁たちがまるで働いているようには見えないのに、もの凄くお金を稼いでいて、また花魁たちは女将や金瓶梅楼に対して恨みや辛みを抱いているらしいことを知り、不安な気持ちになる。16歳の年の4月に、桜子は大切な儀式を経て花魁となり、緋桜という名前で金瓶梅楼の見世に出るようになる。そんな中で桜子は、彼女が金瓶梅楼に来たときの借金とは別に、彼女には内緒で彼女の父が追加の借金をしていたことを知り、強い衝撃を受ける。花魁になって数か月が経つと、桜子は金瓶梅楼でも2番か3番の稼ぎ頭になった。 9月のある日、通小町が金瓶梅楼の別館の3階の部屋から身投げをする。桜子は、織介を表まで送ろうとして玄関の戸を開けたところだったので、ちょうど身投げの瞬間に居合わせることになった。通小町は頭から地面に落ちたために首の骨が折れて絶命したという。警察は、殺されたのではないと判断して、あっさりと引きあげる。しかし、通小町が自殺をしなければならない理由が全く見当たらない。雛雲は「別館の3階の部屋にいる何かに呼ばれたのではないか」と意見する。2日後に通小町の遺体は警察から戻され、火葬されてから廓町のそばにある寺に納骨される。通小町の初七日の後、桜子は金瓶梅楼の庭にある祠の前で、ある手紙を見つける。それは、通小町の許婚と思われる男から彼女への手紙だった。そして桜子は、何かに導かれるように、裏口から廊下にあがり、別館3階の部屋まで来て、窓から身投げをしそうになったところで、雪江に止められる。通小町の身投げの理由は、許婚の男との手紙が途絶えたためではないか、とおばやんは話す。しばらくの後のある夜、おばやんの先導のもと、月影が雪江に背負われて金瓶梅楼の庭にある〈闇小屋〉に運び込まれるのを、桜子は目撃する。おばやんと雪江は、月影を真っ裸にして逆さまにし、2本の柱に両足首を縛りつける。そうした上で、漏斗を使って黒い液体を秘所に流し込んだ。やがて鬼子が秘所から吐き出された。それからしばらくの後、桜子は月影が別館の3階の部屋に向かっていることに気づき、彼女を助けるために跡を追う。しかし、足首をつかみ損ねてしまうが、月影は下を通りかかった車の上に落ちて命拾いをする。やがて桜子は、花魁というのはとんでもない商売なのではないのかという疑問を強く抱くようになり、郭町から逃げ出すことを決意する。 10月の検診日に、桜子は逃亡を試みるが失敗し、織介に助けられて金瓶梅楼に戻ることになる。そんな折、織介が桜子を花嫁として迎えたいという旨の申し出が出る。その後、桜子は紅千鳥から「廓を出て行った元女郎の多くが、また廓に戻ってくる」という話をきく。そんな中、大吉が客となって桜子が相手をすることになる。桜子は勧められる酒を飲んでいつの間にか眠ってしまい、目が覚めると、大吉が彼女の太ももに「吉」の文字を彫っていた。しかし、それでも織介は桜子を信じ、彼女を花嫁として迎え入れることにする。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「幽女の如き怨むもの」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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