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後者の抗弁[こうしゃのこうべん]
後者の抗弁(こうしゃのこうべん)とは、手形関係における人的抗弁権の一つである。手形振出人が、手形所持人からの手形金支払請求を拒絶する際、その手形所持人との事情ではなく、その間に介在した第三者(裏書人)と手形所持人との間の事由を理由にするもので、そのことが「後者の抗弁」と呼称する理由である。 例えば、振出人AがBに対して振り出した約束手形を、受取人Bが別の当事者Cに対し裏書譲渡したが、その後、BがCに対してその裏書譲渡をした際の原因債務を支払ったり、またB・C間の契約が解除になるなどして、その当事者間の原因関係が消滅した。しかし、Bは手形を受け戻さず、所持人Cが振出人Aに対し手形金の支払を請求した。この場合、Aは請求を拒むことができる(後者の抗弁を認める)という考え方と、Aは請求を拒むことができない(後者の抗弁を否定する)という考え方がある。 == 「後者の抗弁」の否定説 == 手形は所持人が呈示することで金銭を授受できる一定額の金銭債権を表示する有価証券であるから、振出人Aは人的抗弁権を援用できないという考え方である。すなわち、手形は不特定多数の間を流通することを予定された流通証券であるため、流通性を最大限に確保する必要があるとする考え方であり、手形上の権利は、原因関係とは無関係に手形行為自体により発生する(原因関係が無効あるいは不存在であっても手形は有効に成立し存続する)とする無因説を基礎としている。 このように、Aの人的抗弁が認められないとすれば、Bからすれば手形をCから回収しなかった過失があるとはいえ、Aに対する手形上・原因関係上の権利を行使することができなくなるという不利益を受ける。しかし、AとCの関係ではAは手形金の支払により責任を果たしており、自己の手形債務および原因債務を消滅させているので問題ない。一方、B・C間の問題は、別途BはCに不当利得返還請求をすることで、不利益を回復すればいいのであり、手形外の枠組みで解決すればいい、というものである。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「後者の抗弁」の詳細全文を読む
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