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微酸性電解水(びさんせいでんかいすい)は塩酸、または塩酸に塩化ナトリウム水溶液を入れて電解処理してから希釈したpH5.0 - 6.5、有効塩素濃度は10 - 80ppmを示す殺菌作用が高い電解水である。水道水の100倍程度の有効塩素濃度があるため特有の臭気がある。食品分野では、従来用いられていた次亜塩素酸ナトリウムより塩素やナトリウム濃度を低く抑えつつ殺菌力を高められるため、より安全性を確保し、コストや環境への負荷を軽減できるという特徴がある〔土井豊彦「微酸性電解水の特徴と効果に関する最近の話題(特集2広がる電解水利用)」『月刊フードケミカル』22(3)(通号251)、2006年3月、58-62頁。〕。 厚生労働省もまた微酸性電解水に対した調査を行い、その安全性を証明した〔厚生労働省『次亜塩素酸水の成分規格改正に関する添加物部会報告書 』項目4 「有効性」 6頁。〕。 殺菌成分は次亜塩素酸が主であり、次亜塩素酸イオンが補助的な殺菌力を持つ。これら2つの殺菌成分は、次亜塩素酸ナトリウムを酸性に傾けた物と同様である。また、微酸性電解水は分解されやすい次亜塩素酸の割合が多いため、長期保管によって次亜塩素酸ナトリウムよりも品質が落ちやすい。 == 開発小史 == 従来、殺菌に用いる食品添加物として次亜塩素酸ナトリウムが用いられていたが、次亜塩素酸ナトリウムは塩素濃度100 - 200ppmで用いられ、すすぎの不十分により塩素臭が残ったり、水道法で規制されている発がん物質である臭素酸が(10〜100mg/L)規定以上に含まれ排水処理や環境負荷、食品に有害物質のクロロホルムが生成されることが問題視されていた〔石鍋建彦「食品製造業における微酸性電解水利用について(特集食品の洗浄と殺菌技術)」『ジャパンフードサイエンス』46(4)(通号541)、2007年4月、56-62頁。〕。ただし次亜塩素酸ナトリウム100〜200ppmの実使用では臭素酸やクロロホルムの残留はほとんどないため、食品添加物として扱われ、現在でも多く使用されている。 微酸性電解水の開発当初の目的は食品設備の殺菌剤の代用品であったが、食品自体の殺菌にも使えないかという要望があり、食品の味や香りを損ねず殺菌できる濃度である10ppmを下限値、上限値はそれ以上に濃度を濃くしても殺菌力に向上がない30ppmに定められた微酸性電解水が誕生したのが2000年の春である〔土井豊彦「微酸性電解水(2)」『食品工業』50(8)(通号1126)、2007年4月、83-89頁。〕。 2002年6月10日付け厚生労働省令第75号において「微酸性次亜塩素酸水」の名称で食品添加物の殺菌剤に指定された。規格では、有効塩素濃度が10 - 30ppmでpH5.0 - 6.5であったが2012年4月26日に厚生労働省告示第345号)により塩酸、または塩酸に塩化ナトリウム水溶液を加えたものも使用が可能になり10〜80ppmと有効塩素濃度が拡大され電解したもののみ厚生労働省では次亜塩素酸水と呼称するようになった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「微酸性電解水」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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