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思弁的実在論[しべんてきじつざいろん] 思弁的実在論(しべんてきじつざいろん、)とは、現代哲学の運動の一つである。これまで支配的だったポスト・カント哲学に反旗を翻し、形而上学的実在論(あるいは相関主義(correlationism))に対する立場を緩やかに共有していることが特徴である。思弁的実在論という名称は、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで2007年4月に行われた学術会議の名前から取られている〔Brassier, Ray, Iain Hamilton Grant, Graham Harman, and Quentin Meillassoux. 2007. "Speculative Realism" in ''Collapse III: Unknown Deleuze''. London: Urbanomic. 〕。その会議を組織したのはゴールドスミス・カレッジのアルベルト・トスカノであり、発表者に名を連ねた人物には、レイ・ブラシエ(アメリカン大学ベイルート校、当時の所属はミドルセックス大学)、イアン・ハミルトン・グラント(西イングランド大学)、グレアム・ハーマン(アメリカン大学カイロ校)、クァンタン・メイヤスー(パリ高等師範学校)がいた。「思弁的実在論」の命名者はブラシエだとされるのが一般的だが〔Graham Harman, "brief SR/OOO tutorial." 〕、それより先にメイヤスーが自らの立場を「思弁的唯物論(speculative materialism)」という言葉で呼んでいる〔Graham Harman, "brief SR/OOO tutorial."〕。 ゴールドスミス・カレッジでの第1回目の会議から2年後に、「思弁的実在論/思弁的唯物論」というタイトルで、第2回目の会議が2009年4月24日に西イングランド大学ブリストル校で開催された〔Mark Fisher, "Speculative Realism," Frieze. 〕。発表者は、レイ・ブラシエ、イアン・ハミルトン・グラント、グレアム・ハーマン、そして(メイヤスーが参加できなかったため)アルベルト・トスカノであった〔Mark Fisher, "Speculative Realism," Frieze.〕。 == 相関主義に対する批判 == 基本的な哲学的見解についてはしばしば不一致が見られるものの、思弁的実在論者たちが共有する思想として、イマヌエル・カント以来の人間の有限性を奉じる哲学に対する抵抗がある。 この運動の4人の主要メンバーに共有されている態度として、「相関主義(correlationism)」あるいは「アクセスの哲学(philosophies of access)」を乗り越えようとしている点がある。メイヤスーは『After Finitude』にて相関主義を定義し、「我々は思考と存在の相関物にしかアクセスできず、片方を抜きにしてはそのどちらにもアクセスできないという考え」としている〔Quentin Meillassoux, ''After Finitude'', 5.〕。アクセスの哲学とは、実在に対する人間の優位を説く哲学のことである。このどちらも、人間中心主義的な思想である。 思弁的実在論の4人の主要メンバーは、人間を優位に置くこれらの哲学を転覆しようと試みており、現代哲学の多くに見られる観念論に対抗して、ある種の実在論を擁護している。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「思弁的実在論」の詳細全文を読む
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