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急降下爆撃 : ウィキペディア日本語版
急降下爆撃[きゅうこうかばくげき]

急降下爆撃(きゅうこうかばくげき)は、軍用機の爆撃方法の一つ。

==急降下爆撃の利害得失==
爆撃は通常、地表に水平に飛行しながら目標へ向けて爆弾を投弾する水平爆撃で行うが、急降下爆撃では目標に対して急降下しつつ投弾して爆撃を行う。
水平爆撃の場合、低空飛行で爆撃すると敵の対空砲火などによる攻撃で撃墜されたり、進路が狂って爆撃に失敗する可能性がある。高高度から爆撃を行なう場合には、地上などの固定された目標に対しても命中率は高くなく、まして艦船など移動する目標に対しては投弾から着弾までの時間が長くなり目標に退避する時間の余裕を与えるため命中率が極めて低くなるものである。
それに対し、急降下爆撃の場合、降下する機体のベクトルと爆弾の落下するベクトルが近いために命中率を高めることが可能となる。
ただし、この方法では水平爆撃と比べて、降下機動や急降下からの引起しなど機体にかかる負荷が大きくなる他、降下中に速度が過大にならないために特別な空力ブレーキを装着する必要がある場合もあり、急降下爆撃専用の機体(急降下爆撃機)を開発することが多かった。
また、通常の場合投弾高度は500〜900メートルとかなり低くなる。このことから爆弾の位置エネルギーは小さくなり、従って着弾時の運動エネルギーも小さいので、同一爆弾を使用しても、その貫徹力は一般に水平爆撃に比較して劣ることが多くなる。
投弾方法も主に
* 先頭機に従って後続機が単縦陣に連なって順次急降下、投弾していく方法
* 編隊全機が一斉に急降下する方法
の二つがあった。
前者は先行機の攻撃による着弾を見て後続機が照準を修正でき、目標の回避運動に対して柔軟に対応できるため命中率が高くなる反面、編隊全機が空中のほぼ一点を順次必ず通過するためそこに対空砲火を集中されると次々と被弾、撃墜される致命的リスクがあった。これは太平洋戦争前半まで旧日本海軍が使用した戦法である。
後者は先頭機の急降下開始と共に後続機も一斉に急降下に入り各機の照準にしたがって投弾する方法であるが、投弾タイミングが編隊全機でほぼ同じ為、目標が急激な回避運動をした場合全弾命中しないということもあり得る。しかし対空砲火は分散もしくは一部(多くは先頭機)に対して集中するため、被害が局限できるという利点があった。これはアメリカ海軍などが採用した戦法である。旧日本海軍も太平洋戦争後期にはこの戦法に変更している。
尚、旧日本海軍における急降下爆撃の降下角度は50° - 60°の間であった。この角度に関しては戦法の違いもあり、各国で若干の差異がある。降下角度が急になり過ぎると、操縦者の体が座席から浮き上がり操縦しにくくなるなど弊害が生じるため、完全な鉛直方向への急降下爆撃は困難である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「急降下爆撃」の詳細全文を読む



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