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愛の処刑[あいのしょけい]
『愛の処刑』(あいのしょけい)は、三島由紀夫が榊山保の筆名で〔この筆名は、三島の知人で写真家の矢頭保から想起したのではないとされている。〕発表した、切腹死を劇画風に描いた短篇小説。1960年(昭和35年)10月、ギリシャ研究・男性同性愛の会「アドニス会」の機関誌『ADONIS』の別冊小説集『APOLLO(アポロ)』5集に掲載された〔当初、別冊『APOLLO(アポロ)』5集は、8月刊行予定だったが遅延となった。〕。愛する者に見守られながら切腹死するという構図や、エロスとタルトス(死の美)のモチーフに、『憂国』との共通性が垣間見られている〔本多正一(読売新聞夕刊 2006年2月23日号に掲載)〕〔堂本正樹『回想回転扉の三島由紀夫』(文藝春秋、2005年)〕。元原稿のノートは2005年(平成17年)に中井英夫の家から発見されている〔〔『決定版 三島由紀夫全集補巻・補遺・索引他』(新潮社、2005年)〕。 ==あらすじ== 30半ばで独身の中学体育教師・大友信二が一人暮らしをしている山深い借家に、ある夜、彼の教え子で無口な美少年・今林俊男が訪ねてくる。俊男は、自分の親友の田所が死んだのは先生のせいだから、先生は責任をとって切腹で苦しみながら死ぬべきだと言う。信二は、品行の良くない田所を雨の中、罰として立たせたのだが、それで田所は肺炎を起こし死んだのである。俊男も田所も愛していた信二は、俊男にそう言われ、すぐさま喜んで切腹する決心をする。井戸の水で体を清めた信二に求められて接吻を交わした後、俊男は処刑の儀式宣言を行い、信二は俊男に与えられた短刀で切腹する。信二が苦しむのに涙しながら、俊男は、信二が好きで、信二が切腹して死ぬところが見たかったのだと告白する。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「愛の処刑」の詳細全文を読む
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