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戦術曳航ソナー[せんじゅつえいこうそなー]
戦術曳航ソナー・システム( タックタス)は、アメリカ海軍が開発した水上艦用ソナー・システム。また、これに準じた機種が西側諸国海軍で広く配備された。TACTAS (TACtical Towed Array Sonar)とも称される。 == 来歴 == 戦術曳航ソナー・システムは、音響測定艦装備のSURTASS (Survellance Towed Array Sonar System,サータス) のコンセプトを、一線の戦闘艦に導入するものであった。SURTASSは、長大な聴音アレイを曳航することで、自艦騒音から離れたところにソナー・システムを展開し、さらに艦体装備という束縛から解放されることにより、艦体装備のソナーでは不可能なほど大型の聴音アレイを形成できるというものであり、旧式の原子力潜水艦であれば100 kmの距離で探知できるという強力な探知能力を有していたが、極めて大掛かりであるので、専門の音響測定艦以外への装備はまったく不可能であった。 一方、アメリカ海軍の水上部隊が有する対潜火網は、大出力・低周波の艦首装備ソナーAN/SQS-23またはAN/SQS-26、一部艦ではさらにレイヤーデプス(水温躍層)下での探知を可能とする吊下式のSQS-35 IVDS (可変深度ソナー) をセンサーとして、火力としてはQH-50 DASH、アスロック、Mk 32 短魚雷発射管より発射する短魚雷を指向することによって形成されていた。しかし、この当時、ソ連軍においては潜水艦発射巡航ミサイルの装備が進んでおり、これにより、ソ連海軍潜水艦の攻撃距離は飛躍的に増大した。SQS-26ソナーは極めて優秀なソナーではあったが、探知距離としては、実戦的環境下ではせいぜい10海里程度が限界であり、巡航ミサイル発射以前に敵潜水艦を探知・撃破できないことから、現在の対潜戦闘体制には重大な欠陥があることが判明しはじめていた。 これに対処するため、1960年代後半より、アメリカ海軍は対潜作戦をアクティブ・オペレーションからパッシブオペレーションに転換するよう志向するようになった。当時、艦装備のソナーはアクティブ・モードでの運用を主としていたことから、まずDASHによりパッシブ型ソノブイを投射する研究(DEStroyer JEZebel system, DESJEZ)が着手されたが、1969年のDASHの運用停止に伴って、有人でより汎用性の高いSH-2 LAMPS Mk Iヘリコプターが導入されたことにより、問題は一足飛びに解決されることとなった、続いて、収束帯 (CZ) を利用しての遠距離探知が可能な曳航ソナー・システムの戦闘艦への配備が計画された。これは、SURTASS計画と並行して、ETAS (Escort Towed Array Sensor) として開発されることとなった。 まず、初期の曳航ソナー・システムであるAN/SQR-15 TASSが、1973年から1974年にかけてブロンシュタイン級フリゲートなど一部の艦に実験的に配備された。しかし、これは装備艦の戦術的行動をあまりに大きく制約されることから、最終的に撤去されていた。この経験から、アメリカ海軍は、戦闘艦に装備した場合に、より柔軟な運用が可能であることが必要であると考えるようになり、これを反映して、計画名はのちに、戦術曳航ソナー・システムに変更された。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「戦術曳航ソナー」の詳細全文を読む
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