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戦闘爆撃機(せんとうばくげきき)は、空対空任務を行う戦闘機に爆撃管制能力を付与し、ある程度爆撃機や攻撃機と同様の任務に使用が可能な兵装の運用能力を持つ軍用機である。 ==概要== 制空戦闘を主任務とする機体に、攻撃機と同等の火器管制と対地攻撃能力を持たせた軍用機である。戦闘機としての制空能力と攻撃機としての対地攻撃能力を(それぞれの専用機に対して若干は劣るものの)同レベルで発揮する事が期待される。1機あたりのコストは上昇するが、両方の能力を単一機種でこなす事が可能となるため、総合的な費用対効果に優れるとされる。なお、攻撃機に自衛用の空対空兵装を装備しただけのものは含まれない〔ただしA-4のように開発国のアメリカでは攻撃機として運用されたが、他国では戦闘機兼任機として運用された例、ホーカー・シドレー ハリアーのように攻撃機として開発されながら、発展型BAe シーハリアーとして戦闘機兼任機が開発された例がある。〕。 また、新型機の就役により旧式化した戦闘機、あるいはハイ・ローミックス〔High-Low Mix.「高性能だが高価な大型戦闘機」(High)と「傑出した性能はないが比較的安価な中・小型戦闘機」(Low)の両方を調達・装備する(Mix)ことで、予算の圧迫を軽減しつつ数量的に十分な数を揃えた航空戦力を整備する戦力整備思想。 なお、元来はアメリカ空軍においてF-15・F-16両戦闘機を混用する事を指す用語だが、他国での戦闘機の運用、あるいはそれに限らず陸上戦力や海上戦力において性能が異なる兵器を混用する場合を指す言葉としても用いられる。〕でローを担う戦闘機を、攻撃・爆撃任務に転用する事例もしばしば見られる。地上攻撃任務は制空任務に比べて損耗率が高い事から、高価な機体をその任務に充てるのは費用効率が悪いとみなされるからである。そのような経緯で戦闘爆撃機として運用された機体は、単純に爆撃能力を比較した場合は新型戦闘機や、ハイ・ローミックスのハイを担う機体よりも低性能な例もある。 また、ジェット機時代のソ連空軍における戦闘爆撃機()は、基本的に戦闘機としての能力は要求されておらず、戦術爆撃機としての運用に特化していた。逆に、西側の戦闘爆撃機のように戦闘機としての役割もある程度期待された機体はソ連空軍では「前線戦闘機()」と呼ばれた。これらは戦闘機としての能力を優先して設計されており、西側での戦術戦闘機に相当すると考えられているが、ベトナム戦争におけるアメリカのF-4などと同様、アフガニスタン侵攻のような実戦では戦闘爆撃機としての任務を与えられて大規模に使用された。 21世紀に入ると先進国間の全面戦争はほとんど想定されず、純粋な制空戦闘機の存在意義が低下し、2001年に発生した「アメリカ同時多発テロ事件」により生起した、21世紀の代表的な先進国の大規模軍事行動である「対テロ戦争(テロとの戦い)」においても、戦闘機の任務は専ら戦略目標への精密攻撃と地上部隊への戦術航空支援であり、対テロ戦争以外においても、大規模軍事行動における戦闘機による空対空戦闘は実例としては少ない。そのために、制空戦闘機としてF-15の後継となるべく設計されたF-22なども、限定的ではあるが対地攻撃能力を付与されて開発されており、「戦闘爆撃機(マルチロール機)ではない戦闘機(地上攻撃能力を持たない戦闘機)」という存在は少数派となりつつある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「戦闘爆撃機」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Fighter-bomber 」があります。 スポンサード リンク
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