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所沢飛行学校 : ウィキペディア日本語版
所沢陸軍飛行学校[ところざわりくぐんひこうがっこう]

所沢陸軍飛行学校(ところざわりくぐんひこうがっこう)は、日本陸軍軍学校のひとつ。飛行機操縦のほか、航空に関する各種の教育と研究を行った。1919年大正8年)に開設された陸軍航空学校1924年(大正13年)所沢陸軍飛行学校に改編し、1937年昭和12年)に廃止された。本部および本校は埼玉県所沢町(現在の所沢市並木)に置かれ、ほかに分校または分教場があった。ここでは前身の陸軍航空学校、および陸軍航空初期の飛行機操縦教育についても述べる。
== 陸軍航空学校前史 ==

=== 陸軍航空草創期 ===
日本において最初にエンジン付き飛行機の操縦者となったのは、1910年明治43年)12月に国内初飛行をした日野熊蔵徳川好敏の2名の陸軍大尉である〔『空の上から見た明治』15頁〕。両者は1909年(明治42年)に気球と飛行機の研究のため発足した臨時軍用気球研究会の委員として、日野はドイツ、徳川はフランスへそれぞれ同研究会から派遣され、飛行機の研究と操縦の体験をして帰国したのであった〔同時期に海軍からは相原四郎大尉をドイツに派遣し研究を行わせたが、相原は日本に帰国することなく飛行船の墜落事故がもとで死亡した。〕。
1912年(明治45年)7月、陸軍は日野、徳川に続く飛行機操縦者の教育を初めて国内で体系的に開始した〔同年6月、陸軍は欧州派遣第二弾として長澤賢二郎工兵中尉、澤田秀工兵中尉の2名をフランスに派遣し、翌年まで飛行機操縦の習得をさせている。『陸軍航空の軍備と運用(1)』28頁〕。全陸軍の中尉少尉から志願者を募り、86名の中から選ばれた5名が「操縦術修業者」として飛行機操縦教育を1年間受けるのである〔岡楢之助騎兵中尉、木村鈴四郎砲兵中尉、徳田金一歩兵中尉、坂元守吉歩兵少尉、武田次郎輜重兵少尉。木村と徳田は1913年3月、日本最初の航空事故犠牲者となって死亡した。〕〔『陸軍航空の軍備と運用(1)』27頁〕。5名は交通術修業員分遣規則にもとづき東京府豊多摩郡中野町に本部を置く交通兵旅団気球隊に所属する形式をとって〔達 陸達第5号 交通術修業員分遣規則 『官報』第7573号、1908年1月29日 〕、前年に開設された埼玉県入間郡所沢町の臨時軍用気球研究会飛行試験場(のちの所沢陸軍飛行場)〔『所沢陸軍飛行場史』2頁〕で飛行機操縦の練習を行った〔。また飛行機に同乗する偵察要員を陸軍大学校卒の大尉から6名選び〔小澤寅吉歩兵大尉、杉山元歩兵大尉、角田政之助歩兵大尉、末松茂治歩兵大尉、平塚直已歩兵大尉、淺田禮三砲兵大尉。〕〔当時の陸軍大学校における年間卒業者数の約1割に相当する。『陸軍航空の軍備と運用(1)』57頁〕、「空中偵察術修業者」として3か月の教育も行われた〔。陸軍大学校卒業者に限定したのは、当時の軍隊における飛行機の第一義的用途は偵察であり、高度な戦術知識を持つ者を空中偵察要員に抜擢すること、さらに将来陸軍の中枢に進むであろう人物に航空に関する認識を持たせることが目的であった〔〔第1期の空中偵察術修業者はのちに陸軍大臣参謀総長教育総監を歴任する杉山元をはじめ、全員が将官まで昇進した。〕。以後、操縦術修業者と空中偵察術修業者の教育は毎年続けられ、実施に際しては前述のように交通兵旅団に属する気球隊(1913年10月、所沢に移転〔彙報 気球隊移転 『官報』第370号、1913年10月22日 〕)に修業者を入隊させて行った〔彙報 交通術修業員入隊 『官報』第280号、1913年7月5日 〕〔彙報 交通術修業員入隊 『官報』第527号、1914年5月4日 〕〔彙報 交通術修業員入隊 『官報』第824号、1915年5月4日 〕〔彙報 交通術修業員入隊 『官報』第916号、1915年8月20日 〕。国内教育の開始から2年で操縦将校は14名、偵察将校は12名になった〔『陸軍航空の軍備と運用(1)』32頁〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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