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テクノロジーアセスメント(TA: technology assessment)は技術のもたらす正や負の副次的影響を総合的・包括的に予見・分析することで、社会的な課題設定や政策的な意思決定の方向性を広く提示する理念や活動を指す。副次的影響には経済、環境、倫理、法、社会、文化に及ぼす影響など広く含まれる。TAやテクアスと略されるほか、日本語では技術の社会影響評価や技術影響評価と表されることもある。かつては技術評価、技術事前評価、技術考査、超技術〔牧野昇(1971)『超技術:技術革新の新段階』中公新書268、中央公論社。〕、技術再点検〔岸田純之助(1972)『技術文明の再点検-テクノロジー・アセスメント時代へ』日本生産性本部。〕などとも呼称されていたが、1970年初頭にはすでに一般的ではなくなった〔山田圭一(1972)「テクノロジー・アセスメントの現状と評価」『季刊 現代経済』6号、120-129頁。〕。 TAは科学技術の倫理的・法的・社会的側面の考慮(ELSI/ELSA: ethical, legal, social implications(issues)/aspects)を行うが、研究的色彩が強いELSIと異なり、アセスメントの結果が社会的意思決定に貢献するように働きかけることを主眼としている。また、不確実性下の意思決定に対するエビデンスを構築するために、あらゆる関係者からの納得と一定の支持を得るための仲介役として機能するという点で、サイエンスコミュニケーションとの関係が深い。また、最近では、TAは技術に対して規制的に働くばかりでなく、将来市場にとって有望な技術を見極め、イノベーションを促進するという点でも期待されている。戦略的知性の主要なアプローチの一つ。 ヘルステクノロジーアセスメント(HTA: health TA)や医療テクノロジーアセスメント(MTA: medical TA)は医療保健分野に特化したTAであり、一般的なTAとは初期に分化し、独自の発展を遂げてきた。そのため、医薬品や医療機器の経済的効果などを評価し、政策における資源配分に直接役立てるという意味合いが強くなっている。 ==概念== テクノロジーは人間や社会にとって利益をもたらすだけでなく、自然環境の破壊、伝統的な文化の破壊など様々な不利益をもたらす可能性があり、しばしば問題とされている。 そういったテクノロジーの開発や適用について人間社会、地球環境に及ぼす影響を多角的・客観的に調査し、事前に利害損失を総合的に評価する事で、発生しうる弊害への対応策の策定、開発方向の修正などを行う事を目的として1960年代ころからアメリカで取り上げられ始めた分析評価アプローチである。 アメリカでは連邦議会技術評価局(OTA: Office of Technology Assessment)が1972年に設立され、1995年に廃止されるまでテクノロジーアセスメントが実施されていた。また、NSF(アメリカ科学財団)も独自にテクノロジーアセスメントを実施していた。OECDでは1972年から取組みが始められ、ガイドラインの作成やセミナーの実施などが行われた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「テクノロジーアセスメント」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Technology assessment 」があります。 スポンサード リンク
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