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排中律(はいちゅうりつ、)とは、論理学において、任意の命題 ''P'' に対し"''P'' ∨ ¬''P''"(''P'' であるか、または ''P'' でない)が成り立つことを主張する法則である。これは、論理の古典的体系では基本的な属性であり、同一律、無矛盾律とともに、(古典的な)思考の三原則のひとつに数えられる。しかし、論理体系によっては若干異なる法則となっている場合もあり、場合によっては排中律が全く成り立たないこともある(例えば直観論理)〔論理学 澤茂実〕〔7.4 直観論理と古典論理 大矢建正〕。 (第三の命題が排除される原理)あるいは(第三の命題・可能性は存在しない)と称され、Law of excluded middle(中間の命題は排除されて存在しない法則)または (第三の命題が排除される法則)と呼ばれ、これらが日本語での排中という表記につながり、排中原理と呼ばれる。 排中律は論理から導かれる法則ではない。また principle of bivalence とは異なる主張である。 修辞学では排中律が誤解されて利用されることがあり、誤謬の原因となっている。 == 例 == 次の命題 ''P'' について考える。 : 「ソクラテスは死ぬ」 この命題に対して、排中律とは、 : 「ソクラテスは死ぬかあるいは死なないかのどちらかである」 という命題 ''P'' ∨ ¬''P'' が成立する、という規則である(それ以外の第三の状態や中間の状態を取らない) 。 この規則は命題 ''P'' の内容によらず適用できる。 排中律に依存した論証の例を次に示す〔これは、よく知られた例である。例えば、Megill, Norm. ''Metamath: A Computer Language for Pure Mathematics'', footnote on p. 17, and Davis 2000:220, footnote 2.〕。次のような : ''ab'' は有理数である。 という属性を持つ2つの無理数 ''a'' と ''b'' があることを証明しよう。 が無理数であることは知られている。そこで、次のような数を考える。 : 排中律に基づくと、明らかにこの数は有理数か無理数かのどちらかである。これが有理数なら証明が完了する。もし無理数なら、次のような数を考える。 : および すると、 : 2 は明らかに有理数である。従って証明が完了する。 この論証において、「この数は有理数か無理数かのどちらかである」という主張は排中律に基づいている。直観主義では、何らかの証拠がない限り、このような主張を認めない。この変形として、ある数が無理数(あるいは有理数)であることの証明や、ある数が有理数かどうかを判定する有限なアルゴリズムなどが考えられる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「排中律」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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