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数論 : ウィキペディア日本語版
数論[すうろん]

数論(すうろん、number theory)とは、特に整数およびそれから派生する数の体系(代数体、局所体など)の性質について研究する数学の一分野である。整数論とも言う。ふつうは代数学の一分野とみなされることが多い。おおむね次の四つに分けられる。
;初等整数論
:他の分野の数学的手法を使わずに問題に取り組む、数論の中で最も基礎的な土台をなす。フェルマーの小定理オイラーの定理平方剰余の相互法則などはこの分野の成果である。
;代数的整数論
:扱われる対象は整数というよりも代数的整数である。従って、代数的な整数論と読むよりも代数的整数の論と読む方が正しいと考えられる。ガウスの整数を研究したカール・フリードリヒ・ガウスがおそらくこの分野の創始者である。体論はこの分野の基礎的根幹であって、ガロア理論は(他の数学においてもそうだが)基本的な道具である。代数体のアーベル拡大の統制を記述する類体論も、この分野の大きな成果である。元来の岩澤理論もここに分類されよう。
;解析的整数論
:微積分複素関数論等の解析学的手法を用いて問題に取り組む。この分野は初めて解析的な手法を系統的に数論に応用したディリクレに始まるとされる。その弟子であるベルンハルト・リーマンによってすでにこの分野の(ひいては数論)の最大の未解決問題であるリーマン予想(1859年)が提示されたのは興味深い。素数定理の証明(1896年)はこの分野の一里塚である。ゼータ関数保型関数を研究するのもこの分野であって、超越数論とも関係が深い。
;数論幾何学
:整数論の問題を、代数幾何の手法で研究する、あるいは代数幾何の主対象である代数多様体(もっと広くスキーム)の整数論的な性質を研究する分野である。ディオファンタスによる研究(初等整数論の範疇)から考えても、その起源は古いが、現代的な意味での数論幾何学の始祖はアンドレ・ヴェイユ(合同ゼータ関数に関する研究、モーデル・ヴェイユの定理の証明のほか、任意の体上での代数幾何学の研究など)といえるだろう。1950年代後半以降のアレクサンドル・グロタンディークらによるスキーム論およびそれに関連する各種理論の発展により、爆発的な発展を遂げ、現在では数論の中核に位置しているといえる。
フェルマーの最終定理のように、数論のいくつかの問題については、他の数学の分野に比して問題そのものを理解するのは簡単である。しかし、使われる手法は多岐に渡り、また非常に高度であることが多い。
ガウスは次のような言葉を残している。
*「数学は科学の王女であり、数論は数学の王女である」
永らく実用性は無いと言われてきたが、近年暗号(RSA,楕円曲線暗号)や符号により計算機上での応用が発達しつつある。
== 歴史 ==

=== 古代ギリシア ===
数論はヘレニズム後期(紀元3世紀)のギリシア人数学者らに最も好まれた研究対象で、エジプトアレクサンドリアで活動したアレクサンドリアのディオファントスは、自らの名が(後に)冠されたディオファントス方程式の様々な特殊ケースを研究したことで知られている。
ディオファントスはまた、線型不定方程式の整数解を求める方法について考察した。線型不定方程式とは、解の単一の離散集合を得るには情報が不足している方程式を指す。例えば、x + y = 5 という方程式は、''x'' と ''y'' が整数だとしても解が無数に存在する。ディオファントスは多くの不定方程式について、具体的な解はわからなくとも解のカテゴリがわかっている形式に還元できることに気づいた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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