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新アラビア夜話 : ウィキペディア日本語版
新アラビア夜話[しんあらびあやわ]

新アラビア夜話』(しんあらびあやわ、原題: ''New Arabian Nights'')は、ロバート・ルイス・スティーヴンソン1877年から1880年にかけて雑誌に発表した作品を纏めて、1882年により刊行された2巻からなるイギリス短編集。スティーヴンソンの処女作も含まれており、この中の数篇はイギリス短編小説の伝統の先駆となったのみならず、彼の最高傑作であると見なす評論家もいる。
=== 第1巻 ===
第1巻は、当初は『''Later-day Arabian Nights''(末の世のアラビア夜話)』と題されていた、1878年の6月から10月にかけてに連載された7つの短編からなり、『自殺クラブ』の3篇・『ラージャのダイヤモンド』の4篇の2部構成になっている。当時のヨーロッパを舞台としているが、恰もアラビア人による原作を紹介しているような体裁をとっている。全篇を通してボヘミアのフロリゼル王子がストーリーに絡む。『自殺クラブ』は秘密組織を巡る物語、『ラージャのダイヤモンド』は世界で6番目と謳われるダイヤモンドを巡る物語である。
;『自殺クラブ』 ''(The Suicide Club)''
:「クリームタルトを持った若者の話」 ''(Story of the Young Man with the Cream Tarts)''
::お忍びでロンドンオイスターバーで飲んでいたフロリゼル王子と腹心のジェラルディーン大佐は、無料で店中の客にクリームタルトを配っている不思議な青年に話しかけられる。興味を持った2人は青年を夕食に招き、彼の口から「自殺クラブ」の存在を知る。2人は自殺願望者を装い言葉巧みに青年を説き伏せて、自殺クラブ会長と対面して入会を果たす。そこは理不尽な誓約で会員をがんじがらめにし、会合の夜毎トランプのゲームで殺される者と殺す者を1人ずつ選び出すという恐るべき秘密クラブであった。その夜「処刑人」に選出されたのはクリームタルトの青年だった。翌日の新聞で2人は死のカード(スペードのエース)をひいた犠牲者の「事故死」を知る。2人は再び会合に訪れ、クリームタルトの青年の懺悔を聞いた。その日スペードのエースが配られたのはフロリゼル王子だった。
:「医者とサラトガトランクの話」 ''(Story of the Physician and the Saratoga Trunk)''
::パリに滞在中の小心だが好奇心も強い若きアメリカ人観光客サイラス・Q・スカダモアは、美しい若い婦人から秘密めいた約束を持ち掛けられる。しかし明くる夜、指定の場所に彼女は現れず、落胆してホテルの自室に戻るとベッドに死体が横たわっていた。向かいの部屋に住む元ロンドンの開業医だったというノエル博士が異変を察知して部屋に入って来た。博士は茫然自失となっているサイラスから事情を聞くと、この巧妙に仕掛けられた罠に落ち、濡れ衣を着せられようとしている若者を助けようと申し出た。博士は部屋にあった大きなサラトガトランク(旅行用大型鞄)に死体を詰め込んでロンドンまで渡航し、指定の場所に届ければ君は悩みから解放されると説明した。博士はジェラルディーン大佐と親交があり、サイラスはパリの謝肉祭見物に訪れていたフロリゼル王子一行に紛れて、税関に掛かる事も無くトランクと共にロンドンに到着した。
:「二輪馬車の冒険」 ''(The Adventure of the Hansom Cab)''
::インドで戦功をあげ一目置かれる存在となったブラックンベリー・リッチ中尉は、散歩中に不思議な御者から優雅に設えられた二輪馬車に手招きされる。御者はある屋敷まで中尉を送り届けると再び何処かへ去っていった。屋敷では男性ばかりの賭博場が開かれていた。ホスト役の男性は何らかの基準で客人を選別しているらしく、意に染まなかったと思しき客人が徐々に退出させられていき、最終的に残ったのはリッチ中尉と歴戦の老兵オルック騎兵少佐の2人だけだった。2人は廃屋とも思われる薄暗く広大な屋敷まで連れて行かれ、その一室で先客に紹介される。先客は当初身分を隠していたが、オルック少佐により直ちにフロリゼル王子であると見抜かれた。そしてホストの男性はジェラルディーン大佐であった。王子は自殺クラブ会長との最後の決闘の立会人になって欲しいと2人に持ち掛けた。
;『ラージャのダイヤモンド』 ''(The Rajah's Diamond)''
:「丸箱の話」 ''(Story of the Bandbox)''
::陸軍少将トマス・ヴァンデラー卿は、何らかの功績によりカシュガルのラージャから世界で6番目と言われる有名なダイヤモンドを贈られ、一介の軍人から金満な社交界の名士へと成り上り若く美しい夫人も娶っていた。優男のハリー・ハートリーは運良くヴァンデラー将軍の秘書の地位を得、将軍自身からの信頼は全く得られなかったが、夫人のお気に入りとなった。ある日夫人から衣装箪笥の下にある丸い帽子箱を指定の場所へ届けるよう依頼されたハリーは、その道中ヴァンデラー卿とばったり出会う。日頃夫人の浪費を咎め立てており、ハリーも信用していない将軍は帽子箱の中を見せろと詰め寄る。後から加わった夫人のいとこも含めた2人から逃げ惑う羽目になったハリーは、ある屋敷の塀を乗り越え庭に転げ落ちる。庭師のレイバーンに見咎められ詰問される内、2人は帽子箱からばらまかれた大量の宝飾類に気付いた。
:「若い聖職者の話」 ''(Story of the Young Man in Holy Orders)''
::レイバーンの屋敷に間借りしていたサイモン・ロールズ師は騒動の顛末を見ていたが、ハリーが転がり落ちた場所で殆ど地面に埋もれていたラージャのダイヤモンドを発見し、その輝きに魅了されポケットに入れてしまう。警察の取り調べも何喰わぬ顔で切り抜け、自室でその輝きを見つめる内に将来への無限の妄想が広がっていったが、これまでに収めた学問がこのダイヤを処分するのに何の役にも立たない事に思い到った。本棚を蹴り倒しクラブに向かった彼は、世間通と思しき紳士からアドバイスを得る。ロールズ師はダイヤモンドを切り分ける技術を身に付けようという結論に至り、旅に出る前にクラブに行くと件の紳士(実はフロリゼル王子と判明する)とトマス・ヴァンデラー卿の弟ジョン・ヴァンデラーが会話している場面に遭遇する。知り合いの宝石屋のいるエディンバラに向かう列車に偶然ジョン・ヴァンデラーも乗り合わせていて、ロールズ師はジョンもまた兄の宝飾類を持ち逃げしようとしている事を知る。
:「緑の日除けがある家の話」 ''(Story of the House with the Green Blinds)''
::エディンバラの誠実、温厚な銀行員フランシス・スクリムジャーは高名な弁護士から呼び出しを受けた。用件はさる高貴な人物が彼に年額500ポンドの手当てを支給したいと申し出ているという話だった。条件は指定された日にパリのコメディ・フランセーズに行き、用意された席に座っている事と、指定された相手と結婚する事であった。会話の過程でフランシスは今まで父親と信じていたスクリムジャー老が実の父親ではなく、この依頼が実の父親からのものらしいと知りショックを受ける。パリで劇場の入場券を受け取る際、これを預けた人物がたった今去ったばかりであり、その人物が刀傷のある老人だと聞き後を追う。そして特徴が合致するジョン・ヴァンデラーとロールズ師が言い争う場面に出くわした。ヴァンデラーが実の父親なのかも知れないと思い込み後を付けると老人は緑の日除けがある家に入っていった。フランシスは隣の空き家を借りる事にした。
:「フロリゼル王子と刑事の冒険」 ''(The Adventure of Prince Florizel and a Detective)''
::ヴァンデラーがロールズ師から強引に奪い取ったラージャのダイヤモンドは、ヴァンデラーの心優しき娘から密かにスクリムジャーの手に渡り、更にフロリゼル王子に手渡されていた。王子はジョン・ヴァンデラーを激しく難詰し、ヴァンデラー嬢との結婚をスクリムジャーに勧めた。最後にロールズと二人で歩きながら、彼にオーストラリアに渡って全てを忘れ開拓者になるよう忠告した後、1人になって歩きながら思案する内に自分までがダイヤモンドに惑わされそうになっている事に戦慄する。王室がパリに所有する川辺の邸宅に戻ると、一人の刑事が待っていた。ヴァンデラー兄弟が窃盗のかどで王子を告発したと言う。総監に王子を逮捕する意志は無いと言う刑事と共に警視庁に歩いて向かう道すがら、王子はダイヤモンドの呪われた経緯を語り、こんなものは退治されるべきだと刑事の目の前でダイヤをセーヌ川に投げ捨てた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「新アラビア夜話」の詳細全文を読む



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