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新モーツァルト全集(Neue Mozart-Ausgabe)は、オーストリアのザルツブルクにある国際モーツァルテウム財団が発行している、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの全作品の楽譜。近年のモーツァルト研究の集大成としてベーレンライター社、パックスアーレン社から出版販売された。 モーツァルト作品の多くが第二次世界大戦で自筆譜など原典資料が行方不明になっていたため、編集時に用いた資料のうちどれをどういった理由で反映させたかを記した「校訂報告」がなかなか発表されず、楽譜本体の刊行が終わってから校訂報告だけ出版された作品も少なくない(その作品群には最も広く知られている『フィガロの結婚』も含まれる)。また新資料の発見によって一部の作品では再校訂が必要になっている。ベーレンライター社では後年、この新全集版を底本として運指を施したピアノソナタ、ピアノ・パートをより弾き易くしたオペラのヴォーカル・スコアも出版した。それらには新全集出版時に利用出来なかった資料によって修正されている箇所も見られる。 == K.136・137・138をめぐる問題 == 当初の計画では、K.136・137・138の3曲は『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』などと一緒に弦楽四重奏曲の最終巻に収められるはずだった。しかし以下の問題などから、室内楽かオーケストラ曲か分類しきれなかった。 *『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』の自筆譜にはチェロとコントラバスの両方が指定されており、弦楽四重奏曲とは言いきれなかった。 *K.136・137・138の楽器編成はヴァイオリン2部、ヴィオラ、バスと与えられているだけだった。 *K.136・137・138の「バス」とはどの楽器か、どんな演奏形態をとるべきか、資料上ではわからなかった。 その後、「バス」とはチェロを指し、これらの作品群も弦楽四重奏曲であることがわかった。モーツァルトの時代は低音楽器全般をバスと呼んでいたために、このようになっていると考えられる。ところが結局、当初の計画の大幅な変更は予約出版物としては望ましいことではないとの判断から、これらの3曲は本来は5巻までの予定だった、第4編・第12作品群「オーケストラのためのカッサシオン、セレナーデ、ディヴェルティメント」の最後の巻として第6巻を新設することで妥協され、出版された。当然ながらオーケストラ作品として結論付けたわけではなく、異例の措置として「編集主幹の前置き」が設けられ、この巻に収められているからといってオーケストラ作品として誤解しないように、と強調されている。 しかし、その妥協は以下の点で強い批判を呼んでいる。 *この序文はドイツ語しかない。 *必ずしも閲覧者全員が序文を読むわけではない。 *表題と内容の食い違いは覆いようがない。 *全集全体の内容を見た者は「新モーツァルト全集はK.136・137・138をオーケストラのための作品とみなしている」と誤解しかねない。 研究者による「新モーツァルト全集」についての言及でさえも、この3曲に関しては間違いが散見される〔CD・Mozart Divertimenti K.136-8、251 Ton Koopman 解説より〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「新モーツァルト全集」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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