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重症急性呼吸器症候群(じゅうしょうきゅうせいこきゅうきしょうこうぐん、(サーズ))は、SARSコロナウイルスにより引き起こされる感染症。新型肺炎(非典型肺炎、中国肺炎、Atypical Pneumonia)とも呼ばれた。 2002年11月(広州市呼吸病研究所は7月と発表)に中華人民共和国広東省で発生し、2003年7月に新型肺炎制圧宣言が出されるまでの間に8,069人が感染し、775人が死亡した〔重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報 - 厚生労働省〕〔Laboratory confirmation of a SARS case in southern China - update 2 - WHO〕。 == 経緯 == 2002年11月16日に広東省で40代の農協職員が発症した例が最初とみられているが、2003年5月6日までに報道されたところによると、広州市呼吸病研究所は最初の患者が7月にさかのぼると発表しているとのこと。 SARSが知られるようになったのは、2003年2月のことである。 中国からの旅行者であるアメリカのビジネスマンがシンガポールへ向かう航空機の中で肺炎に似た症状を引き起こした。飛行機はベトナムのハノイに着陸したが、ハノイの病院でこの旅行者は死亡した。病院の基本的な処置にもかかわらず、彼の処置に当たった医師や看護師が同じ症状を示し、何人かが死亡した。この症候群の病原性と医療従事者への感染は世界中の保健当局を恐れさせた。ハノイ在住のカルロ・ウルバニはWHOへ報告をおこない、2003年3月12日、WHOは世界規模の警報を出した。 SARSは、トロント、シンガポール、ハノイ、香港、台湾、及び中国本土の広東省、山西省に広まった。香港での感染源は2月にメトロポールホテルの9階に宿泊した広東省の医師で、ホテルを訪れた16人に感染させた。それらの旅行者はSARSをシンガポールやトロントに広めた。これがもとで3月頃から世界的な罹患者の広がりをみせたと考えられている。 2003年4月3日、日本政府は、SARSを新感染症として取り扱うことを発表。さらに、4月17日、原因が判明したため、SARSを指定感染症へ切り換える方針を発表した。その後、5月になって、台湾でSARS治療にたずさわっていた26歳の台湾人医師が観光目的で訪日、近畿地方(大阪府内、大阪市営地下鉄、近鉄都ホテル大阪上本町、リーガロイヤルホテル大阪、大阪城など)を観光後、帰国してからSARSを発症していたことが明らかとなり、厚生労働省がその全旅程と立ち寄り先を発表、それらの施設で消毒をおこなう事態へ発展した。 WHOは2003年7月5日、最後まで台湾に出されていた感染地域指定を解除した。しかし、完全な制圧までにはまだ期間を要するとみられた。また、冬に再流行する可能性が指摘された。 2003年6月13日現在、WHOがとりまとめたところによると、患者の約9.4%が死亡しており、WHOの推計では致死率は14-15%に達するとみられる。 2003年の世界保健機関の発表: * 3月31日 - 1,622人の症例と58人の死亡者 * 4月30日 - 5,663人以上の疑わしい患者と372人の死亡者 * 5月31日 - 8,360人以上の疑わしい患者と764人の死亡者 * 6月13日 - 8,454人以上の疑わしい患者と792人の死亡者 * 伝播地域と累積患者報告数 (WHO:6月13日)(テキスト) * 感染者数のグラフ WHOによれば、トロント、シンガポール、台湾、ハノイ、中国広東省、香港、そして上海などの地域で局地的なSARSの感染拡大が起こっている。香港では、最初の感染者の一団は3月29日には退院している。6月13日現在までの報告によると、香港での回復例は1,380人になっている。 おもな症状は、38度以上の発熱、せき、呼吸困難など。病原体は新型のコロナウイルスであることが判明、SARSコロナウイルスと命名された。SARSの感染方法はまだはっきりとはわかっていないが、感染者のせき、または、くしゃみの飛沫を吸引することにより感染するか、あるいは付着した分泌物への接触により感染すると考えられている。各国の保健機関はまた空気感染の可能性も調査している。 2003年後半以降は2004年前半までに計14名の感染患者が報告されている。この内訳は11名が実験施設等における感染事故によるもので、残り3名はそれぞれ感染経路不明の単発的なものである。実験施設等での事故による感染者11名のうち9名は、2004年3月から4月にかけ、北京の国立ウイルス学研究所で発生したものである。これは4月22日に公表され、同研究所は翌日閉鎖、WHOと中国政府の共同調査チームにより調査が開始された。しかし、これも接触者の健康監視等により感染は終息し、5月18日にWHOが終息宣言を出すに至った。なお、日本では2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により一類感染症から二類感染症に変更となっている〔感染症のページ(青森県) 〕。 2010年現在、その後の感染発生の報告はされていない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「重症急性呼吸器症候群」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Severe acute respiratory syndrome 」があります。 スポンサード リンク
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