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新潟大火失火被疑事件 : ウィキペディア日本語版
新潟大火失火被疑事件

新潟大火失火被疑事件(にいがた たいかしっかひぎじけん)とは、1955年昭和30年)10月1日未明に新潟県医学町通二番町36番地の12(現・新潟市中央区新潟県庁第3分館の中心部で発生した新潟大火出火原因に関し、その失火責任追及のために提起された起訴〔〔特別記事 新潟大火の失火被疑裁判について〕『起訴状』(日本電設工業協会 電設工業(1998年4月 - 電設技術に改題) 1959年7月号 p.94-95 起訴状謄本の転載)〕からその控訴審上告審まで争われた裁判事案。この判決は当時の日本の電気工事業界の常識と相容れないもので、斯界を大きく揺るがした。
== 事件の経過 ==

* 1954年12月下旬ごろ - 新潟県庁が第3分館各建物の屋側に外灯の増設を計画。
* 1955年1月10日ごろ - 県土木部営繕課勤務の電気技術者が施工会社の技術主任から見積提出を受け、検討の上所要の変更をし、工事着手を指示。
* 1955年1月13日 - 新潟県庁第3分館の外壁に出火原因とされたA型ブラケット〔判決文によれば「外灯用A型ブラケットは、直径約1.5センチメートル、長さ約22センチメートルの彎曲した鉄製腕管が、三本脚の鉄製脚部と陶磁器製の外殻を有するソケットを収めたニューム鋳物製の頭部に、それぞれ捻込式で接続し、さらにその先端に直径約26センチメートルのニューム製の笠を取りつけ、右腕管内に約1.2ミリメートルの絶縁電線2本を通したもので、右電線をソケットに接続する止めねじとソケットを覆っている鋳物製頭部の内面、及びそこに捻じ込まれている腕管の先端との間隔が少なく、又風によって壊れ易い構造を有していた。」(特報記事『新潟大火裁判の判決について』名達隆義(電設工業 1959年10月号 p.48-53 判決謄本の転載) )となっている。現在は株式会社笠松電機製作所の工事用カタログにしか見当たらない。表記「ニューム」は判決文のママ。〕。取付け施工。
* 1955年10月1日 - 当該ブラケット近傍から出火。起訴状に添付の鑑定書〔〔特別記事 新潟大火の失火被疑裁判について〕『鑑定書』(電設工業 1959年7月号 p.95-107 鑑定書3通他の転載)〕によれば、ブラケット内の漏電電流がモルタル外壁のメタルラスに流れ発熱し出火したとされるが、折からの風速22m以上とされる台風第22号及び、フェーン現象による異常乾燥により火勢が助長され、民家に延焼・飛火し、1,235棟を焼失し46億円の損害を出す大火となった〔佐々木重利『新潟大火事件の判決について』関東電気協会(2011年4月 - 日本電気協会関東支部に変更、2013年4月 - 一般社団法人日本電気協会関東支部に変更) 電気工事の友(2009年9月廃刊)、1962年7月、43-44頁。〕。火災発生初期の報道には「出火元は天井裏」というものがあるが、メタルラス加熱で外壁内から出火してもモルタル塗りのため外部からは見えず、煙が中空壁内から天井裏に流れ、それを初期発見者が見たと考えられる〔『新潟大火の失火原因に関する所見』金原寿郎・塚本孝一(電設工業 1959年7月号 p.106-107〕。
* 1955年12月1日 - 『電気工作物規程』(1954年新規制定)が改正され、電燈器具等をメタルラス張りモルタル外壁に固定する木ねじはメタルラスやワイヤラスから絶縁すべきことが定められた〔『電気工作物規程』 第139条二の3項(通商産業省告示第323号)【低圧電気機器の非充電金属部分をラスモルタル等の木造の造営材へ取付ける際の電気的絶縁】。〕。これは当該工事施工の10か月以上後、起訴の6ヵ月以上前であった。一方、電気器具等でなくメタルラス張りモルタル壁を貫通する金属管工事に関しては、これより早く1954年4月1日に新規制定された『電気工作物規程』で既に規定されている〔『電気工作物規程』 第155条(通商産業省令 第13号)。〕。現在これら両方の規定は電気設備の技術基準の解釈〔電気設備の技術基準の解釈(2015年12月3日改正)第145条【メタルラス張り等の木造造営物における施設】〕に継承されている。
* 1956年6月22日 - 新潟地方検察庁新潟地方裁判所に起訴。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「新潟大火失火被疑事件」の詳細全文を読む



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