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『新選組!』(しんせんぐみ!)は、2004年1月11日から12月12日まで放送されたNHK大河ドラマ第43作である。作・脚本:三谷幸喜。主演:香取慎吾。 == 作品内容と反響 == 近藤勇を主人公に、京都守護職下の警備組織として知られる新選組が題材。既存の歴史小説を原作としないオリジナル作品。原作・脚本は舞台や民放ドラマを手がける三谷幸喜。近藤と坂本龍馬や桂小五郎が江戸で知り合っている、野口健司、浅野薫など史実では新選組に粛清された隊士を生存させたまま退場させる等、史実と異なる大胆な創作を盛り込みながら、同じ三谷脚本の『竜馬におまかせ!』(日本テレビ系列)でも掲げた「幕末青春グラフティ」(尊皇攘夷の名の元に若者達が繰り広げる青春群像劇)をテーマに、「近藤勇の人生における重要な49日」を取り上げ、基本的にその1日を1話で構成するスタンスをとった。大河ドラマ初出演で主演を務めた香取慎吾をはじめ、これまで年配の役者が演じることが多かった隊士や志士役に、実際の年齢に近い若手俳優や小劇場界で活躍する舞台俳優が積極的に起用された。特に土方歳三を演じた山本耕史は容姿・風貌が現存する土方の写真とよく似ていたことや、三谷が「こいつ(山本)は"悪い奴"だ、その部分を引き出したい」と4年前から目をつけており、2004年のスケジュールを空けるようにあらかじめ頼んでいたという。その演技は長年にわたり映画・ドラマ『燃えよ剣』などで土方に扮し、代表的"土方役者"と呼ばれた栗塚旭(本ドラマでは歳三の兄・為次郎役)が対談で「やっと次にバトンを渡せる(任せられる)」と言い、山本にとって当り役となった。『新選組!』の放送前から土方の出身地である日野市では商工会青年部が中心となり「函館戦争まで描いてほしい」と署名運動を行ったものの〔『大河ドラマの50年』鈴木嘉一 中央公論新社2011年〕、近藤を主人公にしたので最終回は近藤の死によって締めくくられ、その死後も土方が新選組を率いて転戦した会津・箱館が登場しなかったために、同地の関係者からは不満の声が寄せられたという。こうした事情や続編を望む視聴者の声を背景に2006年1月3日には正月時代劇として、続編にあたる『新選組!! 土方歳三 最期の一日』を放送。大河ドラマでは異例の続編の放送となった。 隊士をはじめ一人一人のキャラクターと彼らの人間関係が丁寧に描かれている(延べ出演者数は大河ドラマ最多)。脚本に関しても、幕末好きである三谷の知識と、演劇人としての構成力に基づいた新しい物語展開が提示されている。一例として、坂本龍馬暗殺に関して、歴史学者からはほぼ否定されている薩摩藩黒幕説を柱に、学説として有力視されている見廻組実行犯説を折込み、暗殺現場で聞かれた「こなくそ!」という原田左之助ひいては旧来新選組実行犯説の証拠とされていた言葉を、「新選組が坂本龍馬を救出しようとしたが果たせず、その際に左之介が口にした言葉」として結びつけ、これまで登場した多くの人物を登場させ、それぞれの心理を表現している。物語中盤の山場となる池田屋事件の舞台となった池田屋のセットは、実際の建物の設計図を元に組まれた。そのため映画などでよく知られる大階段は存在せず(もともと大階段は創作。実際の「うなぎの寝床」と呼ばれる当時の京町屋で大きな階段が、しかも玄関にあるのは不自然である)、史実に近い暗くて狭い池田屋となった。これに代表されるように、これまで描かれてきた新選組の固定化されたイメージの刷新に取り組んでおり、タイトルの「!」マークにはこれぞ新選組だという思いが込められている(三谷自身は画数で験担ぎをしたとも述べている)。 大河ドラマとしては『琉球の風』以来、11年ぶりにテーマ曲に歌詞がつけられた(歌詞は三谷の手によるもので、第26回からは歌詞の字幕が表示されるようになった。ちなみにその年の『第55回NHK紅白歌合戦』でも歌われた)。それとともに「語りが一切無い大河ドラマ」(ただし、アバンタイトルにおける史実の説明は除く)としても異例である。なお本編の後日談の形で作られた総集編では、みつ役の沢口靖子が語り、という形になっている。 初回視聴率は26.3%だったが、それが最高視聴率で以後視聴率は下がり、平均視聴率は17.4%と振るわなかった(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)〔ビデオリサーチ NHK大河ドラマ 過去の視聴率データ 〕。 その一方で絶賛・擁護の意見も少なくなく、賛否両論の激しい作品と言える〔前述の、近藤と龍馬や桂が江戸で知り合っているなど、史実と異なる脚色の多さが批判された。TV評論家の麻生千晶は「コメディ大河」などと酷評した。その一方で、麻生も審査員を務めるザ・テレビジョン誌の「」では最優秀作品賞に選出された。また、山南敬助の切腹した回では放送当日の反響の電話が鳴り止まず、その年末のアンコールでも1位に選ばれた。この影響を受けて、2007年には山南敬助を弔う「山南忌」が京都の旧前川邸界隈で行われた。この年の日本PTA全国協議会が調査した「親が子供に見せたい番組」アンケートでは(番組別で)第10位に入り、2005年にインターネットで行なわれた「好きな大河ドラマは?」というアンケートでは2位に入った(1位は『独眼竜政宗』)。熱烈な大河ドラマファンである松村邦洋も、番組の企画で大河ドラマベスト3を選ぶ際に第2位として挙げ、「三谷さんは新しい大河ドラマを作ろうとした」と好意的な発言を寄せた。また2011年に行われた「あなたの好きな大河ドラマ」アンケートでは第2位に入っている(1位は翌年放送の『義経』)。〕。三谷によると「時代考証がめちゃくちゃだとさんざん叩かれた。コメディー大河とも言われた。でも実際に一年間見た人は誰もそんなことは思っていないはず。笑うシーンはあっても新撰組は喜劇ではない。喜劇だとしたらギャグが少なすぎる。笑いはあくまでもおまけ。僕は一年を通して人間ドラマを描いたつもりだ」と述べている〔三谷幸喜のありふれた生活703、朝日新聞夕刊、2014年5月22日〕。これまでにDVD化された大河ドラマの中では最高の3万2千ボックス、8億円のヒットとなるなど、若い世代にファン層を広げたと言われている。 香取が出演するテレビ朝日系の番組『SmaSTATION-4』では、香取やSMAPのメンバーが出演したドラマ・映画のプロモーションを兼ねて共演者がスタジオに登場することがあり、『新選組!』の主要キャストも例に漏れず最終回放映前日に番組出演したが、NHKの作品を他局の番組で本編映像も織りまぜながらプロモーションするというのは異例であった。また、フジテレビ系の番組『笑っていいとも!』では香取がドラマの衣装で登場したこともある。最終回の翌日の関西テレビ・フジテレビ系『SMAP×SMAP』では脚本・三谷、主演・香取のパロディコント「局長!」が作られた〔三谷幸喜のエッセイ集「ありふれた生活・大河な日々」巻末おまけの香取と三谷の対談で、香取の提案に三谷が「絶対やるべきです。」と賛成し実現した。〕。2007年7月29日には、フジテレビ系『FNS27時間テレビ みんな“なまか”だっ!ウッキー!ハッピー!西遊記!』内で放送された『クイズ!ヘキサゴンII 今夜はクイズパレード』において、新選組代表として香取慎吾、山本耕史、山本太郎、山口智充、小林隆、矢部太郎がドラマの衣装で出演している〔ただし、矢部が演じた阿比留は、新選組と名を変える前に脱退していたため、浅葱の羽織に袖を通すのは初めてであった。〕。また2015年に放映された朝の連続テレビ小説『あさが来た』では、山本耕史が本作と同じ衣装を着用し、土方を演じた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「新選組!」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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