翻訳と辞書 |
方法論的個人主義[ほうほうろんてきこいじんしゅぎ]
方法論的個人主義 (ほうほうろんてきこいじんしゅぎ、) とは、社会構造やその変化を、個人の意思決定の集積として説明し理解する考え方をいう。原子論的個人主義ともいわれる。方法論的集団主義あるいは方法論的全体主義に対立する〔森岡清美・塩原勉・本間康平編『新社会学辞典』有斐閣、1993、p.1341〕。方法論的個人主義を分析の方法として具体化した一例が合理的選択理論である。 方法論的個人主義のもっとも極端な立場では「社会全体」は存在せず、ただ「その部品の合計」だけが存在すると考える(atomism)。これは還元主義(reductionism)、つまり、より小さな存在に言及することによる、全ての大きな実在の説明の還元としても記述されてきた。 ==歴史== 方法論的個人主義が自覚的に浮かび上がったのは、ドイツ/オーストリアにおける経済学の方法論争を通してだった。経済学におけるオーストリー学派の創始者となったカール・メンガーは、ドイツ歴史学派の方法を批判して、個人の行動を基礎に経済学を組み立てる方法の有効性を主張した。社会科学の方法として方法論的個人主義を明確に位置づけたのは、シュンペーターである。それにより政治思想としての個人主義と社会科学の方法論としての個人主義とを明確に区別された〔J. シュムペーター『理論経済学の本質と主要内容』〈上・下〉岩波文庫、1983(原著は1908)、第1部。〕。社会学へは、マックス・ウェーバーによって方法論的個人主義が導入されたとされるが、その方法論的個人主義はかなり特異なものであることには注意を要する。〔フランス語版方法論的個人主義参照。また、犬飼裕一「方法論的個人主義の行方 1 : マックス・ウェーバーが敷いた路線の行き着くところ」『北海学園大学学園論集』第136号、2008をも見よ。〕。シュンペーターの考えは、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス、フリードリヒ・ハイエク、カール・ポパーなどによって引き継がれたが、彼等は集産主義(Collectivism)への強い反対者であったから、政治的個人主義との区分はかならずしも明確ではない。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「方法論的個人主義」の詳細全文を読む
スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース |
Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.
|
|