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日前国懸神宮と高大明神の用水相論 : ウィキペディア日本語版
日前国懸神宮と高大明神の用水相論[ひのくまくにかかすじんぐう-と-こうだいみょうじん-の-ようすいそうろん]

日前国懸神宮と高大明神の用水相論(ひのくまくにかかすじんぐう-と-こうだいみょうじん-の-ようすいそうろん)は、室町時代紀伊国(現和歌山県)で発生した灌漑用水をめぐる日前国懸神宮(以下「日前宮」と略す)と和佐庄という庄園の間の相論訴訟を伴う紛争)である。当事者の一方である後者が日前宮に対抗する権威として同庄に鎮座する高大明神(現高積神社)を担いだため、結果的に日前宮と高大明神の用水相論と呼ばれるようになり〔永享5年5月10日付「守護代遊佐国継遵行状案」(湯橋家文書)など。湯橋家文書については『和歌山市史』第4巻による。以下、ほかの注記で『和歌山市史』による場合はこれを『市史』と、その収載文書について例えば鎌倉時代のものであるならば「市史鎌-第○○号」等と略記し、湯橋家文書の場合は単に「市史室-第○○号」と記す。〕、そこから高大明神の神領地における用水相論と把握されたりもした〔永享5年4月19日付「室町将軍家御教書案」(市史室-第146号)。ただしその一部を除いて、係争地が高大明神自体の神領とされた記録は残されていない。〕。
本事件に関する史料は、紀伊国岩瀬庄(いわせのしょう)〔鎌倉から戦国時代にかけて設けられた庄園。現在の和歌山市岩橋が遺称地。湯橋庄ともいった(『角川地名大辞典』)。〕の荘官の系譜を引く湯橋氏〔同氏は本姓秦氏を称し、平安末から鎌倉時代にかけて紀伊国衙の在庁官人西国御家人となり、近世には和佐組の大庄屋を務めた地士(地侍)層。因みに「組」とは紀州藩において在方(城下町以外)の村落をいくつかにまとめて編成された行政単位で、勘定奉行の管轄に属し、各組の有力農民の中から任命された「大庄屋」を通じて支配された(『和歌山県史 近世』)。〕のもとに伝わる「湯橋家文書」中にまとめられており〔同文書は5巻からなる巻子本。同家に伝わる古文書を享保13年(1728年)から寛延元年(1748年)の20年間に順次編纂、成巻されたもの(『和歌山県史』中世史料2、「解説」)。〕、相論の経緯は勿論、当時の裁判手続きの様子をも比較的豊富に伝える。
== 概説 ==

中世には日前宮が鎮座地周辺を社領として経営しており、紀ノ川から社領域の農業用水として宮井(現宮井川)を引いていた。一方平安時代末には神宮領の東北方に立荘されていた和佐庄は〔庄域は現紀ノ川の南岸、和歌山市禰宜、井ノ口、和佐関戸一帯と推定される(『和歌山県の地名』)。〕、庄内の農業用水として宮井から引水する和佐井を開削していた。
相論は永享4年(1432年)に起きたが、当時は和佐庄によって紀ノ川左岸河口部の氾濫原沖積低地)の開発が急速に進められていたと見られ、同庄は10年程前の応永29年(1422年)にも隣接する石清水八幡宮領の岩橋庄との間で堺相論を起こしている〔同年6月日付「岩橋荘雑掌実重申状」」(市史室-第118号)。 〕。こうした和佐庄の新開発に対して、社領域の農業生産を宮井に依存していた日前宮が危機感を募らせたことによる異議申し立てが本相論であったと推測でき、このように理解すれば用水の上流と下流に位置する者同士のありきたりの相論に過ぎなくなるが、本相論は灌漑用水の管轄権の推移や室町時代の裁判手続きの具体相を伺わせるものともなっており、特に後者の点については守護と守護被官に対する在地社寺勢力の葛藤といった面を髣髴とさせるものがあるために興味深いものとなっている〔小山靖憲、「堺相論と用水相論」(『市史』第1巻「中世の和歌山」所収、第2章第3節第2項)。〕〔木村安男「日前国懸神宮領-守護被官との用水をめぐる裁判」(『きのくに〔荘園の世界〕』下巻所収)。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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