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月の水 (Lunar water) は、月に存在する水である。月の水は月の表面に留まっていることはできず、水蒸気は日光によってすぐに分解され、宇宙空間に拡散してしまう。しかし1960年代から、月の極地方の永久影になったクレーターに氷が存在すると推測されている。 水及び水と化学的に関連する水酸基は、自由水として存在するよりも、月の鉱物と結合しても存在することができ、月の表面の大部分でその割合は非常に低いことを強く示唆する証拠が得られている。実際に、吸着水は10ppmから1000ppmの痕跡量の濃度でしか存在しないと計算されている。 結合水素の存在を示唆する様々な観測の結果から、月の極地方に氷が存在するという不確定な証拠が積み上がっている。2009年9月、インドのチャンドラヤーン1号は月の水を検出し、また反射された日光から水酸基の吸収線を発見した。2009年11月にアメリカ航空宇宙局のエルクロスは、インパクタを月の南極のクレーターに衝突させ、舞い上がった物質の中にかなりの量の水酸基を検出した。これは、「ほぼ純粋な氷の結晶のように見える」含水物質のせいであると考えられている〔"Ice deposits found at Moon's pole" , BBC News, 2 March 2010〕。2010年3月、NASAはチャンドラヤーン1号に搭載したミニSARレーダーで、月の北極に少なくとも数mの厚さを持つシート状の少なくとも6億トンの比較的純粋な氷の沈殿を発見した〔http://www.nasa.gov/mission_pages/Mini-RF/multimedia/feature_ice_like_deposits.html〕。 月の水は地質学的な時間をかけて、水を含んだ彗星や小惑星、隕石が衝突してもたらされたか〔 Elston, D.P. (1968) "Character and Geologic Habitat of Potential Deposits of Water, Carbon and Rare Gases on the Moon", Geological Problems in Lunar and Planetary Research, Proceedings of AAS/IAP Symposium, AAS Science and Technology Series, Supplement to Advances in the Astronautical Sciences., p.441〕、太陽風の中の陽子が酸素を含む鉱物に衝突してその場で作られたものであると考えられている〔NASA - Lunar Prospector 〕。 月の水を探す試みは、長期間の月の植民を可能にするため、多くの関心を集め、近年の月探査のモチベーションとなっている。 ==観測の歴史== ===20世紀=== 月の極地方のクレーターの底に氷が存在する可能性は1961年にカリフォルニア工科大学の研究者であるKenneth Watson、Bruce C. Murray、Harrison Brownによって最初に提唱された〔Watson, K., B. C. Murray, and H. Brown (1961), The Behavior of Volatiles on the Lunar Surface, J. Geophys. Res., 66(9), 3033–3045.〕。アポロ計画の宇宙飛行士が持ち帰った月の石のサンプルの中に痕跡量の水が確認されたが、地球上で汚染された結果だと推測され、一般に月の表面の大部分は完全に乾燥していると考えられた〔"It's Official: Water Found on the Moon" , ''Space.com'', 23 September 2009〕。しかし2008年の月の石の再研究で、火山性のガラス球の中に水分子が捕獲されている証拠が得られた〔Moon Once Harbored Water, Lunar Lava Beads Show , ''Scientific American'', July 9, 2008〕。 月近くでの水蒸気の存在を示す直接の証拠は、アポロ14号のアポロ月面実験パッケージのSuprathermal Ion Detector Experimentによるもので、1971年3月7日に得られた。アポロ14号の着陸地点の近くの月表面に設置された質量分析装置で、一連の水蒸気イオンが観測された〔Moon Once Harbored Water, Lunar Lava Beads Show , ''Scientific American'', July 9, 2008〕。 月面に氷が存在する証拠は、1994年にアメリカ国防総省の探査機クレメンタインによる観測結果から提案された。バイスタティック・レーダーとして知られる実験で、クレメンタインは月の南極の影の部分に向けて送信機から電波のビームを発した〔The Clementine bistatic radar experiment — Science〕。電波の反響は、地球上のディープスペースネットワークにある大きなパラボラアンテナで受信された。反響波の振幅と振動数は岩ではなく氷と一致するものであったが、この結果については合意が得られていない〔Clementine Probe 〕。コンピュータシミュレーションでは、月面上の14,000m2に及ぶ範囲が永久影になり、氷が存在する可能性があると示唆された。 1998年に打ち上げられたルナ・プロスペクターは、月の極地方のレゴリスに含まれる水素の量を測定するために中性子分光計を運んだ。50ppmまでの水素原子を検出することができ、月の北極と南極ではその濃度が大きかった。これは、かなりの量の氷が永久影のクレーターに捕らわれていることを示唆していたが〔Lunar Prospector Science Results NASA〕、ヒドロキシルラジカルが月の鉱物と化学的に結合している可能性もあった。クレメンタインとルナ・プロスペクターによるデータに基づき、NASAは、もし月面に氷が存在すると仮定すると、合計の存在量は1-3km3になると推測した〔Prospecting for Lunar Water , NASA〕〔Neutron spectrometer results 〕。 月の水に関する懐疑的な考えは、主に1999年に月を通過したカッシーニのデータに基づくものである。1999年7月、このミッションの最後にルナ・プロスペクターが意図的に月の南極近くのクレーターシューメーカーに衝突させられた。かなりの量の水が検出されることが期待されたが、地上の望遠鏡による分光測定では水のスペクトルは観測されなかった〔No water ice detected from Lunar Prospector , NASA website〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「月の水」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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