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木樽 : ウィキペディア日本語版
樽[たる]

(たる、英語:barrelまたはcask)は、円筒形の容器であり、ヨーロッパで伝統的な樽(洋樽:ようだる)は木の板(樽板)とそれを縛る鉄の輪などの箍(たが)で作られており、胴の側面は中央部が膨らんだ円筒形である。日本で一般的なものは鎌倉時代末から室町時代初期ごろに出現した結樽(ゆいだる)で、たがは材を螺旋に捩ったもの。また、形状は洋樽と異なり真っ直ぐで、膨らまない円筒形となる。樽を作る職人は日本では後述のように結樽が桶の系譜を汲むことから桶屋、英語圏ではcooperと呼ばれる。
側壁を構成する板材を、箍で結束することで強度を保つ構造物である(アーチの石積みが重力によって結束されているのと同じ原理による)。すぼまっている方に向かって底板をはめ込むことにより、荷重は箍によって支持され、液体を入れるとそれを吸った板が膨張することにより密閉される。接着剤等を使用せず、木材由来の成分を除いて内容物に不純物が溶出することも無いため、水や飲料の容器として重宝されてきた。
現代でも、アルミニウム(小樽(keg、ケグ)とも言う)およびプラスチックFRPなど合成樹脂で一体成型した容器のことを、慣習的に樽と呼ぶことが多い。
上記のように洋樽はしばしば中間で膨れており、凸面の形を持っている。このような一定の膨れを作ることで、横にすると摩擦面が小さくなるため比較的容易に方向を変えつつ転がすことができるようになり、容器がより球状に近くなるため材料の中で応力を均等に分散することを助ける。
ビールのために使用される樽は、通気孔や蛇口の台座などの開口部を備えている。
== 歴史 ==

=== ヨーロッパ ===
古代のギリシアやローマのような地中海世界では、油やワインのような液体は、例えばアンフォラの様な陶製の容器に入れ、木栓と松脂で封をして運んだ。3世紀にローマ人は、ガリア人との交易や戦争での接触の結果、樽を使い始めた。ガリア人はローマ人と交渉を始める以前から数世紀に渡って樽を作っていた。
2000年近くの間、樽はその高価な値段を支払える者にとっては、船での輸送や貯蔵容器として最も便利な存在だった。船の積載量の単位としても用いられ、トンの語源は、空の樽を叩いた時の音に由来する。また、樽は液体の貯蔵容器としてのみではなく、から金貨まで、あらゆるバラ荷を入れるために樽を用いた。こうしたバラ荷の容器として、袋や木箱はより安価だったが、同じ重さの樽ほどには頑丈でなかったし取り回しに不便だった。しかし、20世紀にパレットを用いた物流コンテナ化が導入されるにつれ、樽はゆっくりと主役の座を失った。
20世紀後半に、米国では原子力廃棄物を収納するために、大きな鋼製キャスクが使われ始めた。乾式キャスク貯蔵と呼ばれるこのシステムは、非常に議論のあるところとなったが、ユッカマウンテン貯蔵施設のようなサイトが開設されるまで他に代わりになる選択肢がほとんど無い中では、最も現実的と考えられた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Barrel 」があります。



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