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核種(かくしゅ、〔ラテン語の''nucleus''(中心部分、中核)から。〕、または nuclear species〔 小田稔ほか編、『』、研究社、1998年、項目「nuclide」より。ISBN 978-4-7674-3456-8〕)とは、原子核の組成、すなわち核の中の陽子の数、中性子の数及び核のエネルギー準位によって規定される特定の原子の種類を言う〔同位体と化学(1978) p.1〕。米国の核化学者 T. P. Kohman によって提案された〔ただし、Kohman の最初の定義には、核のエネルギー状態については考慮されていなかった。現在においては、核異性体は異なった核種として扱われる。核化学と放射化学(1962) p.27〕。 核種は原子核の同位体やその他の性質を区別するために利用される〔例えば、「核種 A と核種 B は同位体である」というように用いる。 なお、核種という言葉が提案されるまでは、同位体という言葉の意味を広く取り、代用語のように用いていたため、同位体という言葉で核種を意味させていることがある。〕。放射能を持つ核種を放射性核種、そうではない安定した核種を安定核種と呼ぶ。 == 概要 == 原子核の中の陽子の数は原子番号 Z と呼ばれ、元素の化学的性質を決定する。また原子核の中の核子(陽子、中性子の総称)の総数(中性子の数+陽子の数)は質量数 A と呼ばれ、これは個々の原子の原子量に最も近い整数となる。なお、Z と A がわかれば中性子数 N は N = Z - A で求めることができる〔すなわち、Z と A を指定することは陽子数と中性子数を指定することに等しい〕。 核種(nuclide)を表示するにあたって用いられる記号は、元素の化学記号に対して原子番号を左下に、質量数を左肩〔昔は質量数は右肩に添えられていたが、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)の取り決めにより左肩に付されることとなった。核化学と放射化学(1962) p.27〕に付したものである。例えば、水素(原子番号 1 )の同位体で、質量数が 2 の二重水素であれば、 : と表される〔原子番号 1 と原子記号 は同じ情報であり、一方が判れば他方は決まるために、原子番号を省略して質量数だけを付け と表記されることもある。また、中性子数は、質量数と原子番号の差から求められるが、明示する場合や、初学者向けなどで丁寧に表記する場合には、中性子の数を右下に添えて のように表記される。〕。 なお、日本語で核種を表すときは、元素名の後ろに質量数を添えること(例えば水素2、酸素16、炭素12など)で表す。英語では Helium-4 のように、元素名の後ろにハイフンを挿入して質量数を添えることで表す。 ;原子核のエネルギー準位の表記法 原子核には様々なエネルギー順位があり、安定でない状態では通常1秒にも満たない極めて短い半減期でガンマ崩壊するが、まれに半減期が長い状態も存在する。このエネルギー状態の異なる安定または準安定状態の事を核異性体といい〔 長倉三郎ほか編、『』、岩波書店、1998年、項目「異性核」より。ISBN 4-00-080090-6〕、これらは別の核種であると明確に区別される〔 吉村壽次ほか編、『化学辞典 第2版 』、森北出版、2009年、項目「異核性」より。ISBN 978-4-627-24012-4〕。例えば臭素35は半減期18分でベータ崩壊するが、半減期4.4時間を持つ準安定状態の臭素35mも存在し、後者が核異性体であり前者とは別物と区別される〔。 半減期が短いものは通常そのまま表記されるが、寿命が長いものにmetastable(メタステーブル、準安定状態の)という意味から"m"という文字を質量数のあとに付けて表記し、テクネチウム99mを例にとれば のように表記される。核異性体が3つ以上あるときは、寿命が短いものから順にm1、m2、m3が付けられる〔安斎育郎著『放射線と放射能』ナツメ社 2007年2月14日初版発行 ISBN 9784816342554〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「核種」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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