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楕円型作用素 : ウィキペディア日本語版
楕円型作用素[だえんがたさようそ]

数学偏微分方程式の理論において、楕円型作用素(だえんがたさようそ、)とは、ラプラス作用素を一般化した微分作用素のことを言う。最高次の微分の係数が正であるという条件によって定義され、このことは主表象が可逆であるか、または同値であるが、実の特性方向が存在しないという重要な性質を意味する。
楕円型作用素は、ポテンシャル論において典型的に現れるものであり、静電気学連続体力学において頻繁に用いられる。楕円型正則性は、解が(作用素の係数が滑らかであれば)滑らかな函数になる傾向にあることを意味する。双曲型偏微分方程式放物型偏微分方程式の定常解は一般に楕円型方程式によって解かれる。

== 定義 ==

R''d'' 内のある領域 \Omega 上の次数 ''m'' の線型微分作用素 ''L'' で、次で与えられるもの
: Lu = \sum_ a_\alpha(x)\partial^\alpha u\,
(ここに \alpha多重指数)が楕円型(elliptic)であるとは、\Omega 内のすべての ''x'' と、R''d'' 内のゼロでないすべての \xi に対して
: \sum_ a_\alpha(x)\xi^\alpha \neq 0 \,
が成り立つことを言う。多くの応用において、この条件は十分に強いものではなく、したがって代わりに次数 ''m = 2k'' の作用素に対しては次の一様楕円性条件(uniform ellipticity condition)が課されることもある:
: (-1)^k\sum_ a_\alpha(x) \xi^\alpha > C |\xi|^.\,
ここに ''C'' はある正定数である。楕円性は最高次の項にのみ依存することに注意されたい〔これはしばしば「狭義楕円性」(strict ellipticity)とも呼ばれ、「一様楕円性」は作用素の表象に対して上界が存在することを意味するように用いられることもある。慣習によって異なるので、著者が用いている定義を確かめることは重要である。例えば、第一の定義に対しては Evans, Chapter 6 を、第二の定義に対しては Gilbarg and Trudinger, Chapter 6 を参照されたい。〕。
非線形作用素
: L(u) = F(x, u, (\partial^\alpha u)_)\,
が楕円型であるとは、その ''u'' に関する一次テイラー展開と、任意の点についての導函数がいずれも線型楕円型作用素であることを言う。
;例1
:R''d'' におけるラプラシアンの -1 倍
:: - \Delta u = -\sum_^d \partial_i^2u\,
:は、一様楕円型作用素である。このラプラス作用素は静電気学において頻繁に現れる。ρ がある領域 Ω の内部の電荷密度であるとき、ポテンシャル Φ は次の方程式を満たす。
:: - \Delta \Phi = 4\pi\rho.\,
;例2
:すべての ''x'' に対して対称かつ正定値な行列値函数 ''A(x)'' で、成分が ''a''''ij'' であるようなものが与えられたとき、次の作用素
:: Lu = -\partial_i(a^(x)\partial_ju) + b^j(x)\partial_ju + cu\,
:は楕円型である。これは、二階発散形式の線型楕円型微分作用素の内で最も一般的な形状のものである。ラプラス作用素は ''A = I'' とすることで得られる。これらの作用素は、分極媒質に対する静電気学においても現れる。
;例3
:非負の数 ''p'' に対し、p-ラプラシアンとは次で定義される非線形楕円型作用素のことを言う。
:: L(u) = -\sum_^d\partial_i (|\nabla u|^\partial_i u).\,
:同様の非線形作用素はに現れる。グレンの流動則に従って、氷のは次で与えられる。
::\tau_ = B\left(\sum_^3(\partial_lu_k)^2\right)^\cdot\frac(\partial_ju_i + \partial_iu_j)\,
:ここに ''B'' はある定数である。すると、定常状態における氷床の速度は、次の非線形楕円型システムの解で与えられる。
::\sum_^3\partial_j\tau_ + \rho g_i - \partial_ip = Q \,
:ここに ρ は氷の密度、''g'' は重力加速ベクトル、''p'' は圧力、''Q'' はある外力項である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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