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江衛型フリゲート(ジャンウェイがた-、Jiang-wei class frigate)は、053型フリゲートの中で中国人民解放軍海軍初の汎用フリゲートである053H2G型及び053H3型に与えられたNATOコードネームである。従って、中国海軍にとって、公式にはこれら2艦級はそれぞれ独立したものである。ただし、これらはいずれも共通したコンセプトを有し、また建造の経緯から見ても、これらをひとくくりにしてとらえることには大きな意義がある。 江衛型として分類される艦は、中国海軍のフリゲートとしてはじめて、NATO諸国の汎用フリゲートに比肩しうる、バランスのとれた装備を施している。個艦防空ミサイル、艦対艦ミサイル、哨戒ヘリコプターを備え、これらはいずれも戦術情報処理装置を中核として連結されて、システム艦として構築しているとされる。ただし、このように充実した兵装を備える一方で、排水量は2000トン台と船体は小型であり、航洋性能に問題があるとの指摘もなされている。 江衛型として分類されるフリゲートは、1990年代初頭から2000年代中盤にかけて、計14隻が就役し、現代中国海軍の洋上兵力において基幹戦力となっている。なお、中国海軍のフリゲート級艦艇の整備は、054型を経て054A型に移行しているが、これは中距離艦対空ミサイルによって艦隊防空能力を獲得し、排水量も50%増に大型化するなど、どちらかといえば、従来の駆逐艦を代替する艦となっている。 == 歴史 == 中国海軍は、1970年代中ごろより、旧ソ連のリガ型フリゲートの設計をもとにして053K型(江東型)、053H型(江滬型)およびその改良型を開発・配備してきた。とくに対艦ミサイルを主兵装とする053H型は小改正を受けつつ多数が建造され、派生型である053H1型、053HE型、053H1Q型、053H1G型を含めると30隻にも上り、中国海軍洋上兵力の中核をなしてきた。しかし、駆逐艦戦力の主力であった051型駆逐艦(旅大型)を含め、これらの艦の大部分には艦対空ミサイルが装備されておらず、また、艦の戦闘装備のシステム統合も極めて不十分であったため、とくに防空能力について重大な問題があった。 中国は1980年代、南沙諸島をめぐってベトナムなど周辺諸国と緊張関係にあり、この際の経験から、その洋上兵力の問題を痛感することになった。中国海軍航空隊は、南沙諸島に派遣される艦隊に航空援護を提供することができず、一方、洋上兵力の側には艦隊防空能力がまったく欠如しており、唯一の艦対空ミサイル搭載艦である053K型が搭載するのは個艦防空用のHQ-61Bで、しかもその性能ははなはだ不満足なものであった。また、南沙諸島での示威行動のため、フリゲート部隊はたびたび長期の作戦行動を強いられたが、これらの艦は基本的に沿岸哨戒を目的として設計されており、長期間の行動にはまったく不向きだった。 これを是正するため、西側の設計理念を導入して改設計し、また戦術情報処理装置を搭載してシステム化をはかった053H2型(江滬-III型)が開発されたが、海軍はその性能になお不満足であった。このことから、053H2型を基本としつつ、より先進的な兵器システムを搭載した艦として、造船(現:中華造船)において開発されたのが、053H2G型である。艦対空ミサイルを搭載し、哨戒ヘリコプターの運用設備を備えるなど、変更点はきわめて多岐にわたり、このことから、西側観測筋はまったく新しい艦級と推測して、江衛-I型(Jiang-wei I class)のコードネームを与えた。 このようにして開発された053H2G型(江衛-I型)であったが、性能的にはなお制約があったことから、同型の運用実績を踏まえて改良を施した艦として開発されたのが053H3型(江衛-II型)である。同型は、兵装面では052型駆逐艦(旅滬型)にほぼ匹敵する一方、建造コストはその半分で、しかも装備の大部分は国内生産でまかなうことができた。中国海軍は、その性能に満足し、10隻という多数を建造した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「江衛型フリゲート」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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