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法経済学 : ウィキペディア日本語版
法と経済学[ほうとけいざいがく]

法と経済学(ほうとけいざいがく、law and economics)とは、経済学のうち、特にミクロ経済学ゲーム理論の観点および手法を利用して法的理論を分析、再解釈する学問である、また近年では統計計量経済学を用いた分析も行われている。近接する分野として契約理論がある。
== 法と経済学の歴史 ==
18世紀の初頭に、アダム・スミス重商主義者の立法がもたらす経済的効果を議論した。 その後も、独占禁止法や証券取引法などの分野においては、経済学的アプローチが用いられた。しかし近年まで、経済学が、市場外の活動を調整する法律の分析に適用されることはなかった。1961年に、ロナルド・コースおよびグイド・カラブレイジは、「社会的費用の問題」および「危険分配と不法行為法に関する若干の考察」という論文を、それぞれ独自に公表した。これらが、現代における法と経済学の起源であるとみなされている。その後、シカゴ大学ロー・スクール教授でアメリカ合衆国第7巡回区控訴裁判所裁判官(判事)のリチャード・ポズナーなどを中心に多くの研究者によって研究が進められてきた。
1970年代以降、アメリカの主なロースクールで法と経済学の教育プログラムが設けられるようになった。今日では、法と経済学はハーバード大学エール大学シカゴ大学スタンフォード大学ジョージタウン大学ミシガン大学などのロースクール経済学部で発展を続けている。現代のアメリカでは法政策に関わるテクノクラート官僚は法と経済学を理解し、実際の政策・法整備などに必須のものとなっている。
法学の世界で用いられる場合には、企業法・経済法分野などで、何が合理的で認められるべきものなのか、何は不合理で否定されるべきものかを決定する背景的基準として用いられる場面がみられる。例えば、企業を巡る多数当事者の利害関係を調整する場合に、単純な古典的モラルによって正邪を決めにくい場面であっても、経済的合理性をもって価値を図ることによって、より説得的で、かつ、経済面でも発展を損なわない結論を法学として導くことが期待されている。
但し、資源配分の効率化、最適化を目的関数とする経済学的アプローチは当然のことながら「社会的公正」の要素を考慮しないため(資源配分の最適化が経済「厚生」のみならず社会的「公正」に繋がるといった信仰に近い極端な考え方は除く。もっとも基本的には、談合や独占やパターナリスティックな介入による資源配分よりは市場を通じた資源配分の方が幾分公正であろう。)、正義の実現という価値判断も必要な法律においては、そのアプローチの限界をも十分に認識すべきであり、経済学的アプローチが普遍的に通用するものではない。たとえば、「パターナリスティックな介入による資源配分」であっても、社会保障の分野のように、そのこと自体が公平性の実現から期待される場合もあるからである。
また経済モデルのような高度に抽象的なモデルから得た解が現実社会の中でうまく働くとは限らないが、法と経済学は法という現実社会に密接に関わる分野について経済学を応用する学問分野であることから、常に現実との対話が必要となる。とすると、現実の社会の中では何が経済的に合理的なのかという判断自体が経済学者の間で論争となることも多く、経済学の利用によって現実社会の中で一意に最適な解が得られるとは限らない。近年ではヤミ金問題に端を発した、消費者金融における上限金利の引き下げについて、経済学者の中でも意見が別れたことが注目された。池尾、大竹論争など。消費者金融の上限金利等の引き下げ

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Law and economics 」があります。



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