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温泉アザラシ(おんせんアザラシ)は、神奈川県の箱根園水族館で飼育されているオスのバイカルアザラシの「ビリー」のことである。2009年、温泉に浸かる人のような演技を行い、“温泉アザラシ”として知られるようになった。ビリー君と呼ばれる。 == 経歴 == 温泉アザラシとは、池の中で前脚でとっくりを置いた木製のたらいをつかみ、頭の上に日本手拭をのせ、あたかも温泉に入っているような格好をするアザラシのことである。演技を行うビリーはこの演技で知られるようになった。 ビリーは「BAIKAL(バイカル)」の "B" から命名された。2004年にロシアに産まれる。バイカルアザラシは他のアザラシに比べて物音や足音に敏感であり、とても臆病で警戒心が強く、その警戒心を解くのに他の動物の数倍の時間がかかるといわれ、このため、演技を教えるのは難しいと考えられていた。飼育員の服が変わっただけで近寄ってこないほどの臆病なため、最初は、その警戒心を解くところから、飼育が始まった。〔温泉アザラシの立役者 富江亮輔 箱根園水族館飼育員 26 : 神奈川 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)2010/05/17 13:21〕〔asahi.com(朝日新聞社):「いい湯だな〜」ロシアから来たアザラシ新芸披露 箱根 - 社会 2009年2月26日15時0分〕 箱根の水族館では、バイカルアザラシの生息地バイカル湖同様に冬は冷え込む。気温差のため、アザラシのプールから水蒸気が立ち上ることがある。2008年冬、雪が降った日に、飼育員・富江亮輔は、湯気の中でビリーが目を細めているさまを見て、まるで人が温泉に浸かっているようだと思い、「温泉の格好をさせたら、かわいいのでは」と、簡単な演技をさせることを思いついた。水族館では2008年4月から日本で初めてバイカルアザラシのショーを開催していた。〔〔 2008年10月、飼育員は警戒心の強いバイカルアザラシの群れの中で、最も人に慣れているビリーに演技を教えることにし、まずビリーに小さなボールを抱えさせることからはじめる。ビリーは前脚でものを持つことを知らなかったが、小さなボールはすぐに覚えた。次に大きなボールを抱えさせようとしたが、小さなボールの場合に比べ、持とうとするとボールが逃げてしまうため、ビリーはできなかった。しかし、飼育員が根気強く繰り返すと、次第にビリーは大きなボールをも覚えた。〔〔 そして、桶を抱えさせようとしたが、おけはボールよりもさらに大きく、形も異なるため、ビリーはおけのふちに前脚が当たってしまい、うまく持つことができない状態が続いた。しかし、飼育員があきらめずに日々訓練を重ねると、ついにビリーはコツをつかみ、手を大きく広げて、おけを横から抱えることを覚えた。また、ビリーの頭の上に手拭(てぬぐい)を置くのを覚えさせることも難航した。最初に直径15cmほどの輪を使って、頭に物を乗せる訓練をして馴れさせ、その後、手拭いに移行した。ビリーは10分ほどしか集中力が続かないため、これを根気よく繰り返し、温泉アザラシの演技の習得に約3カ月かかったという。〔〔 このようにして、2009年1月に温泉芸としてデビューした。2009年2月に大手紙がビリーを報じると、その演技は評判となり、テレビにも放送され〔箱根「山の上の水族館」 な、なんてゆるくてかわいい… : J-CASTテレビウォッチ 2009/10/16 15:39〕、水族館は客足が伸びた。〔〔 水族館では動物に無理がないように、動物が嫌がるなら訓練をしないため、逆に飼育員との関係が良好で、これが名演技の「温泉芸」につながった。また、動物が嫌がるなら演技を教えないために、好き嫌いのある“気分屋”のビリーが覚えた演技は「温泉芸」のみである。なお、水族館では演技を教えることを通じて、アザラシの健康管理までも行えるようになっている。〔(No.58)「温泉アザラシ・ビリー君」登場 (箱根園水族館 山の上から) 鈴木智久 2012年10月17日 14:21〕〔(No.35)山の上の飼育係~ショーの回~ (箱根園水族館 山の上から) 鈴木智久 2008年7月1日 11:06〕〔アザラシの「ビリー」が温泉で「いい湯だな~」-箱根園水族館 - 小田原箱根経済新聞 2010年11月30日〕〔水族館の人気者 箱根園水族館編 温泉アザラシ/神奈川新聞 - YouTube アップロード日: 2011/07/17〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「温泉アザラシ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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