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モササウルス科[もささうるすか]

モササウルス科とは白亜紀後期に繁栄した有鱗目トカゲ亜目オオトカゲ上科に属する、海生のトカゲからなるグループである。まれに海トカゲ類と呼ばれることもある。本項目では模式属であるモササウルスを含めた科全体の概要について解説する。
モササウルス化石は1764年にオランダマーストリヒト石灰岩採石場で発見された。その後のジョルジュ・キュヴィエらの研究によって、この化石が絶滅した大型の海生爬虫類のものであることが判明した。
現在の分岐分類学ではの構造などから、モササウルス科はトカゲ亜目の中でもヘビに最も近縁なグループであると考えられており、有鱗目種分化を考えるうえで非常に注目されている分類群である。
==概要==

モササウルス科は白亜紀中頃の魚竜プリオサウルス類、海生ワニ類の絶滅(南太平洋で起きた巨大海底火山活動による海洋環境の悪化が原因とされる。この火山活動によって現在のニューギニア北方沖にあるオントンジャワ海台が形成された)に乗じて空白になった生態域に進出し、白亜紀後期のからマーストリヒチアンにかけての2000万年間、海中の頂点捕食者として繁栄を遂げた。温暖な大陸棚の浅海での生活によく適応し、汎世界的に分布を広げた。特筆されるのは、モササウルス類は胎生でありを陸上に産む必要がなく、ウミガメよりも海中生活に適応していたことである。
モササウルス科最小の種は体長3-3.5mのである。この種は球根状の頑丈な歯を持ち、海岸線近くの浅い海底で棘皮動物を食べていた。ほとんどのモササウルス類はこれよりも大きく、ティロサウルスは最大体長17.5m、上述のマーストリヒトから発見されたモササウルスの最初の標本も体長18m前後に達するとみられる。大型モササウルス類の体長はほかの有鱗目を大きく引き離しており、彼らは史上最大級の有鱗目であるといえる(参考までにティタノボアの全長:12-15m、アミメニシキヘビの全長:9.9m、ハナブトオオトカゲの全長:4.75m)。
モササウルスの体型は現生のオオトカゲに似ているが、遊泳生活に適応するためにより胴長で流線型になった。肋骨は短くなり、指骨が伸びて手足はのような形をしている。は垂直方向に幅広くなり、これで推進力を生み出した。尾を使った泳ぎ方はウナギウミヘビなどと共通する。しかし最新の研究では、モササウルスの尾には、サメ魚竜のように大きな三日月型のがあったという説が唱えられている(左上図参照)。モササウルスの筋肉をみると、ヘビのような体全体をくねらせる泳ぎ方よりもむしろ、尾鰭で力強く水を蹴って推進力を生み出す泳ぎ方のほうが、水理学的にかなう泳ぎ方である。ひょっとすると、モササウルス科は待ち伏せ型の狩りを行い、強力な推進力を使って獲物を急襲していたのかもしれない。
モササウルスは二重関節の顎ととても柔軟な頭蓋骨を持っていた。この形質は、彼らが大型の獲物をいっきに丸呑みにするための適応であると考えられる。このヘビのような貪欲な捕食方法は、モササウルスの体内からほとんど噛み砕かれていない獲物の化石が見つかっていることからも裏付けられている。また、モササウルス類は海中生物を手当り次第に食べていたと考えられる。サウスダコタから発見されたティロサウルスの体内からは胃内容物として、ヘスペロルニス(に似た海鳥)、硬骨魚類、サメ、より小型のモササウルス類(クリダステスの化石が見つかった。ちなみに、モササウルス類の骨は大量のサメの歯の間から見つかった。
モササウルスのさまざまな特徴(二列に並ぶ口蓋歯、緩く連結した二重関節の顎、短い肋骨、体をくねらせる遊泳・移動方法など)から、多くの研究者はモササウルスがヘビと共通の祖先から分化したと考えている。この学説は1869年エドワード・ドリンカー・コープによってはじめて提唱され、彼はヘビとモササウルスを”''Pythonomorpha''”という分類群に統一しようとした。この学説はながく忘れ去られていたが、1990年代に入って再び脚光を浴びた〔Palaeos Vertebrates 260.100 Pythonomorpha: Pythonomorpha 〕〔Mosasaurs: Last of the Great Marine Reptiles 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Mosasaur 」があります。



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