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スベスベマンジュウガニ
スベスベマンジュウガニ(滑々饅頭蟹、)は、エビ目・カニ下目・オウギガニ科・マンジュウガニ属 に分類されるカニ。有毒種。 甲長3.5cm、甲幅5cmほどの小型のカニで、インド洋から西太平洋に分布し、日本では千葉県から沖縄県にかけての太平洋岸の岩礁海岸とサンゴ礁の潮干帯から水深100mまでに生息する。あまりすばやく逃げないので磯遊びなどで見かける機会もある。名のとおり甲は突起物が目立たず全体に滑らかで、丸みを帯びている。体色は赤褐色から紫褐色。灰白色の斑紋がある。鋏の先は黒い。海藻、貝類、ゴカイなどを食べる。 == 毒 == 本種は有毒ガニであり食べられない。これまでにこのカニから検出された毒成分には、麻痺性貝毒(PSP)の成分のゴニオトキシン、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、テトロドトキシン(フグ毒、TTX)があり、生息地によって成分の構成比、毒量が大きく異なる。分布北限近くの神奈川県三浦半島のものはフグ毒を主成分とし、沖縄などの亜熱帯のものは、個体によって麻痺性貝毒を主成分とするものとフグ毒を主成分とするものがあり、中間域ともいえる徳島県淺川湾のものでは、1個体が両毒を合わせもっているとの報告がある(西尾、1991年)。これらの毒は基本的には餌に由来すると推測されており、生息環境によって餌にする生物が異なることが毒の成分や量の違いの原因だと考えられている。体内での合成や、共生微生物の存在などについてはまだわかっていない。沖縄県石垣島のリーフで採集された標本の場合、筋肉中に1000 MU/g以上の毒を含んでいた例もあり、充分に致死量の毒を含んでいると言える。 毒は主に体表部(外骨格="殻")と、歩脚、鋏脚の筋肉に含まれるとされる。神奈川県と和歌山県の個体(2004年)では、毒は特に鋏脚部の掌節と腕節(ハサミの付け根の太い部分周辺)の筋肉に高濃度に分布し、頭胸部(胴体)の筋肉は、調査個体に関しては無毒であったことから、カニが敵に対してハサミを振りかざしたり、逃げる際に自切することなどと関連付けて、毒が捕食者に対する防御に役立っているのではないかと推察している。なお、フグ毒を持つ動物のうちトラフグ ''Takifugu rubripes''やトゲモミジガイ''Astropecten polyacanthus''(ヒトデの一種)などはフグ毒に著しく誘引されるとの実験結果があり、彼らが積極的に毒を摂取・蓄積している可能性も指摘されているが、スベスベマンジュウガニに関しては不明である。 クロダイなどは本種を好んで食べる。そのため「タンクガニ」の名で、釣りえさとして販売されている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スベスベマンジュウガニ」の詳細全文を読む
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