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澄江の化石出土地域 : ウィキペディア日本語版
澄江の化石出土地域[ちょうこう]

澄江の化石出土地域(ちょうこう〔読み方は『精選 中国地名辞典』(塩英哲編訳、凌雲出版、1983年)ならびに『最新中国地名事典』(張治国監修、日外アソシエーツ発行、紀伊国屋書店発売、1994年)による。前者には「チョンチアン」、後者には「ツンジャン」という表記が併記されている。『グランド新世界大地図』(全教出版、1992年)では「チォンチィアン」という読みが記載されている。モリス (1997)、ホウほか (2008)、日本進化学会 (2012) など化石出土地域として言及している文献では、いずれも「チェンジャン」という読みが記載されている。〕のかせきしゅつどちいき)は、中華人民共和国の世界遺産のひとつであり、カンブリア紀生態系を考察する上でカナダバージェス頁岩と並んで世界的に重要な化石生物群、いわゆる澄江動物群が出土した地域である。カンブリア紀の化石出土地域の中では最も古い部類に属し〔宇佐美 (2008) p.94〕、多くの軟らかい組織が残された保存状態の良好さも高く評価されている〔ホウほか (2008) p.iv〕。また、最古の脊椎動物であるミロクンミンギアをはじめ、保存された種の多様性にも特色がある。
== 調査と保護の歴史 ==

澄江の化石出土地域は雲南省玉渓市澄江県にある。その澄江県は雲南省都の昆明市からは東南に60 km離れている〔塩英哲編訳『精選 中国地名辞典』(凌雲出版、1983年)、p.543〕。その澄江の帽天山周辺は、20世紀初頭には化石生物の産地として、フランス人研究者オノレ・ラントノワ (Honoré Lantenois)、、アンリ・マンシュイ (Henri Mansuy) らが調査を行なっていた〔ホウほか (2008) p.8〕。この調査で軟体性の生物の化石が発見されており〔モリス (1997) p.168〕、カンブリア紀のの存在も報告されていたが〔宇佐美 (2008) pp.193-194〕、大きく注目されることはなかった〔モリス (1997) p.168〕。
いわゆる澄江動物群の出土地として本格的な調査が始まるのは1984年以降のことである。この年の6月から帽天山の調査に当たっていた古生物学者の侯先光が、7月1日に未知の生物の軟体部を発見したのを契機に、次々と新たな軟体部の化石を発見したのである〔ホウほか (2008) pp.8, 11〕。当初の調査に引き続いて、1990年頃まで断続的に調査が重ねられ、調査範囲も周辺の馬鞍山、小濫田村付近などに拡大された〔ホウほか (2008) p.12〕。その成果が段階的に公表されたことで、重要性が広く認知されるようになった〔ホウほか (2008) p.13〕。未知の生物群が発見されたことはもちろん重要だが、ハルキゲニアなどの既に存在が知られていた生物についても、後述するように重要な知見をもたらした。
1990年代に入ると南京地質古生物研究所などによる組織的な調査も行なわれるようになり〔大森 (1998) p.160〕、1999年には西北大学舒徳干が、ミロクンミンギア属とハイコウイクチス属という2つの脊椎動物の化石を発見し、カンブリア紀に脊椎動物はいなかったとする従来の認識を覆した〔『Newton』2007年5月号、p.64〕。なお、この発見に関する論文は『ネイチャー』に掲載されたが、のちに侯などからはハイコウイクチス属はミロクンミンギア属と同一の属とすべきであるとの見解が示された〔ホウほか(2008) p.189〕。
カンブリア紀は膨大なリンの鉱床が形成された時期でもあり、どのような関連性かは解明されていないが、当時の進化とリン酸塩には何らかの関連性があると考えられている〔モリス (1997) pp.212-213、宇佐美 (2008) pp.90-92〕。澄江の化石出土地域周辺もリン鉱石を産出し、かつてはその採掘が行われていた〔宇佐美 (2008) p.31〕。しかし、2008年までに、世界遺産登録範囲周辺の緩衝地域では、かつて行われていた14箇所でのリン採掘はすべて停止された〔IUCN (2012) p.20〕。一帯は公有地となっており、中国の国内法で保護されているほか〔、帽天山周辺の地区は雲南省澄江国家地質公園という名称でジオパークにもなっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「澄江の化石出土地域」の詳細全文を読む



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