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灰色藻(かいしょくそう)は淡水に棲む単細胞真核藻類の小さなグループである。細胞内にシアネレ(cyanelle; シアネルとも)とよばれる原始的な葉緑体を持つ事で特徴付けられる藻類で、小規模ながらも独立の植物門(灰色植物門)を構成する。 「灰色」と名付けられてはいるが、細胞の色は藍藻と同様に深い青緑色である(写真を参照)。そもそも灰色植物門「Glaucophyta」の語源であるギリシア語の ''glaucus'' は地中海の色(sea-green)を表現する言葉であったが、これが英語の glaucous(淡い青緑色、青味がかった灰白色)を経て和訳された際に、単なる灰色になってしまったという経緯がある。 == 細胞構造 == === 葉緑体 === 灰色藻の葉緑体(シアネレ)は、緑色植物及び紅色植物と同様に藍藻が細胞内共生(一次共生)して生じたものとされている。灰色藻と一部の原始紅藻は、光合成色素として藍藻が持っているフィコビリンタンパク質を保持しているために青緑色に見えるが、緑色植物では既に失われている。 灰色藻のシアネレは色素組成の他にも、一重のチラコイドが同心円状に配列するなど藍藻と共通する特徴を備える。シアネレは2枚の包膜に包まれているが、その2枚の膜の間には薄いペプチドグリカン層が存在する。これは細菌の細胞壁と同様の材質であり、共生した藍藻の細胞壁の名残であると考えられている。そのためペプチドグリカン層をリゾチーム処理で溶解することで葉緑体を破砕できる。また、葉緑体の分裂では、2枚の包膜のうち、内包膜の内側への陥入と外包膜のくびれは別々に進行する。この特徴は、通常の葉緑体の外側からのくびれ込みと、藍藻の細胞分裂が平行して進行していると見ることができる。ストロマ部分にはピレノイドではなくカルボキシソームをもつ点でも藍藻によく似ている。つまり灰色藻のシアネレは、細胞内共生した藍藻の特徴を色濃く残す葉緑体なのである。 シアネレは現生の藍藻に似てはいるが、ゲノムサイズが縮小するなど細胞小器官としての変化も進行している。灰色藻 ''Cyanophora paradoxa'' ではシアネレゲノムの解析が為されており、それによればゲノムサイズは127kb程度、コードされている主要な遺伝子は他の植物の葉緑体と共通するという。ゲノム内に逆行反復配列(IR; Inverted Repert)を持つ点も同様である。シアネレは、藍藻が独立の藻類から葉緑体という細胞内小器官へ移行していく過程と仕組みを知る上で貴重な構造である。 包膜にペプチドグリカン層があることなどから、葉緑体は長い間、細胞内共生している藍藻であると考えられてきた。しかし、そのゲノムサイズが他の植物の葉緑体と同程度に縮小していることからオルガネラであると確定した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「灰色藻」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Glaucophyte 」があります。 スポンサード リンク
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