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無垢の博物館[むくのはくぶつかん]
『無垢の博物館』(むくのはくぶつかん、)は、トルコのノーベル文学賞作家オルハン・パムク著のトルコ語で書かれた小説である。2008年8月に出版された(日本語訳は2010年)。 ==内容== トルコの富裕層の青年ケマルの独白体で大部分が書かれており、12歳年少で裕福でない女性フュスンに対するケマルの妄念的な愛情が、イスタンブルを舞台に1975年からの10年間を中心として、30年にわたって描かれている。ケマルの愛情はフュスンの内面や社会的状況には向けられず、もっぱら女性としての外面的な美しさに向けられており、きわめて自己中心的に描かれている。フュスンに対する生涯の愛情を確信したケマルは別の女性との婚約を解消し、フュスンや彼女の生活に関わり、それらをケマルに想起させる物を収集し始める。物と妄念により自己の持つ愛情を満足させることが習慣となり、ケマルは家族や友人たちとの健全な社会的人間関係を損なっていく。 作品中には蝶やカゴの小鳥、ケマルのフェティシズムにより集められた小物が多数登場する。フュスンに完全に魅了されていたケマルは、しかし彼女をひとりの人間として扱うことができないことが、作品中では最後まで描かれ続ける。 しかしそうした人物はケマルだけでなく、フュスンの周囲に登場する男性は誰もが彼女の異性としての魅力にとりつかれ、彼女の個性や内面を見ようとしない。最終的に彼女は、トーマス・ハーディの「テス」やフロベールの「ボヴァリー夫人」のように、そういった男性たちの欲望の犠牲となる。 作者のパムクはこの小説を書くに当って、YouTubeでイスタンブルの音楽や映画を調べた、と語っている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「無垢の博物館」の詳細全文を読む
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