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牝馬 : ウィキペディア日本語版
牝馬[ひんば]
牝馬(ひんば)とはメスの事である。オスの馬のことは牡馬(ぼば)という。
== 繁殖上の牝馬 ==

他の多くの哺乳動物と同様、繁殖においては出産と子供の成育を担う。稀に双子がある場合を除き、一度に出産する数は1頭(単胎)である。北半球では2~7月、南半球では8~1月に繁殖期を迎え、この時期は平均23日周期で発情排卵を繰り返す〔『馬の医学書』p.124〕。牝馬の性周期には概ね以下の3つの段階がある〔『馬の医学書』p.181〕。
*無発情期 - 晩夏から冬にかけての繁殖閑期
*調整期 - 晩冬から初春にかけての繁殖準備期
*繁殖適期 - 定期的な発情を繰り返す繁殖期
無発情期、調整期においては、牝馬は身辺に牡馬を一切近づけないが、繁殖適期に入ると積極的に牡馬に接近する。交配の合図として、牡馬の性衝動を刺激するフェロモンを含んだ尿を盛んに排出するほか、尻尾を上げて外陰部を開閉させるウインキング(Winking)と呼ばれる行動を起こす〔『馬の医学書』p.22〕。これらのアピールを経て交配に至ると、1週間程度で受精する。受胎期間は327~357日程度と、哺乳類の中では比較的長期に及ぶ〔〔受胎期間が短いブタは、平均114日で出産し、200日以上の差がある。〕。
出産は90%以上が夜間に行われ、野生状態にある場合には群を離れ、可能であれば水場の付近に移動する。これは捕食動物の襲撃を避けるための行動と考えられている〔モリス pp.97-98〕。出産後、母馬は羊水で濡れた仔馬を舐めて拭くが、これは匂いを覚えるための行動でもあり、この時に人間が仔馬をタオルなどで拭くと、後々母馬が仔を拒絶する例がある〔モリス p.100〕。仔馬は30分~1時間ほどで立ち上がり、これに授乳した後に元の群れに合流する。以降の1年間程度を授乳期間とし、この間は常に仔馬を後見する。競走馬など人間の管理下にある場合、生後6ヶ月程度で人為的に離乳が行われる。出産後9日程度で再び発情が見られるようになり、交配が可能となる〔『馬の医学書』p.148〕。
英語では、1歳未満の馬を「フォール(foal)〔このうち、離乳した仔馬を特に「ウィーンリング(weanling)」と呼ぶ。〕」、1歳馬を「イヤリング (yearling)」、2歳牝馬を「ジュヴェナイルフィリー(juvenile filly)」、3~4歳牝馬を「フィリー(filly)」、5歳以上牝馬を「メア (mare)」と区別して呼び、一般に繁殖適齢は3歳以降とされる。稀に出生年から発情の兆候を見せる個体もあるが、この場合、牡馬の性行動を促す効果が薄いため、交配までには至らない〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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