|
寺垣スピーカー(てらがきスピーカー)とは、寺垣武が研究開発したスピーカーの名称である。別名「物質波スピーカー」である。当初の名称は「波動スピーカー」であった。しかし、エムズシステムが同名別構造のスピーカーを先に発表したため名称を変更している(エムズシステム社の波動スピーカーについては「波動スピーカー」の項を参照のこと)。現在もその名称で呼ばれ混同される事がある。実際の製品としては、株式会社Teragaki-Laboから「TERRAスピーカー」(テラスピーカー)として、株式会社TMT Japanから「寺垣ミュージックトランサ」として発売されている。 == 原理 == 公式サイトの説明によると、コーン紙を利用せず湾曲したバルサ板を振動板(パネル)として音を出す方式を採用している。スピーカーの分類としてはコンデンサー型(静電型)スピーカーに該当する。放音パネルは可能な限り振動を抑えていて、ほぼ静止した状態である。通常、放音パネルの振動が大きければ大きいほど、先に出た音の振動は慣性の法則で残り、後に出る音の立ち上がりは不鮮明になる。寺垣スピーカーは放音パネルの振動を抑えることで音の立ち上がりを明瞭にしている。その結果、音の1つ1つが非常に明確になる。このパネルからの音は無指向性のため、スピーカーの周囲のどの位置でもほぼ同じ音場感を得る事が可能である〔他のコンデンサ型スピーカーとの違いは何か、他社の同型スピーカーも原理的には同じではないかという疑問を立てる事ができるが、現時点ではその答えは不明である。〕。 寺垣スピーカーの理論で特筆すべき点は、音に関して「物質波」または「波動」という観点に立脚していることである〔公式サイトによれば、現時点では科学的には検証・立証が研究途上の仮説だと説明されている。〕。音を単なる空気振動として捉えず、「ある物質の振動が媒質を通して伝播する現象」として捉えている。慶應義塾大学環境情報学部の武藤佳恭教授が物質波について独自に研究を行い、それを寺垣の公式サイト上のコラムで詳述している。それによると、音には縦波(粗密波)だけでなく、横波も存在している。横波は、従来音として認識されている縦波とは違う性質を持っている。具体的に述べると、 #横波の音は縦波の音に比べ減衰率が低い。 #反響がほとんどない。 #音同士が干渉しにくい(縦波は相互干渉により粗密波を生む原因になる)。 #上記のような音のため、難聴の人にも聞き取りやすい。 という特徴を持っている。寺垣スピーカーの音は主にこの横波であり、縦波を主に発する従来のスピーカーユニットでは実現できない音を再生する事が可能である。寺垣は武藤教授の分析が自身のスピーカーの原理をほぼ代弁していると考えているようである〔この物質波および波動という概念は、本来は量子力学における用語である(物質波とは、量子力学ではド・ブロイ波の事を意味する)。量子力学の概念は 日常生活の常識と乖離しているため、一般の人間には理解されにくく、疑似科学またはオカルトの分野ではしばしば誤解に基づいた解釈がなされている。従って寺垣スピーカーもそのような疑似科学やオカルトの類いであると誤って捉える懐疑派の人々が一部で存在する。寺垣はそうした人々の声を受け、「波動」や「物質波」という(量子力学の用語と同名の)命名を失敗であったと公式サイトのコラムで述べている。〕〔武藤教授は横波が指向性を持つものと考えているが、寺垣は横波(彼の言葉では波動または物質波)の指向性を否定している。〕。 COMZINEのサイトに寺垣と矢野直明の対談 が掲載されているが、その対談で寺垣は自身のスピーカーの原理について説明している。その説明によると、波動は「エネルギーが分子間を移動する現象」である。音の波動エネルギーが「バルサ材の分子を通じて、空気の分子を揺り動かし」耳に届くとのことである。従来型のスピーカーでは、スピーカーユニット後部からの音波が筐体内で定在波となり、筐体はその影響で共振(箱鳴り)を起こしてしまう。寺垣スピーカーにおける筐体の役割は、放音パネルへ振動を効率的に送るために質量を確保している。箱型のように内部を囲んでいないため、筐体内で定在波はほとんど起こらない。これも寺垣スピーカーの音に好影響を与えている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「寺垣スピーカー」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|