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特4式内火艇 : ウィキペディア日本語版
特四式内火艇[とくよんしきうちびてい]

特四式内火艇 カツ(とくよんしきうちびてい/ないかてい カツ)は大日本帝国海軍海軍陸戦隊)の水陸両用装軌車1944年昭和19年/皇紀2604年)に制式採用された(年式は皇紀による)。
== 性能 ==
特四式内火艇はそもそも、堀元美技術少佐が、呉海軍工廠造船実験部時代、南方の孤島に物資を輸送するために考案した水防式の無限軌道付きの内火艇である。潜水艦に積んで近くまで行き、後は自力で水中を走り、陸地にはい上がることができる〔御田重宝『特攻』講談社314頁〕。帝国海軍は上陸作戦用にこの種の車輌を開発しており「特型内火艇」(内火艇とは海軍独特の呼び名で、内燃機関を動力源とする小型艦載艇のこと)と呼称した。基本設計は呉海軍工廠の造船実験部堀元美海軍技術少佐〔戦史叢書12マリアナ沖海戦431-432頁〕。瀬戸内海広島県呉市情島の秘密基地で夜間の特訓を重ね、隊員が増えると対岸の倉橋島大迫地区に移転。約800人が実戦訓練を受けた〔『朝日新聞』広島版、2011年9月5日付朝刊29面〕。
本車は、上陸作戦用の大発動艇(大発)が糧食弾薬を運搬する際、波打ち際での揚陸作業中に攻撃を受けて度々被害を出していたことへの対策として発案され、アメリカ軍のLVTの情報を参考としていた。
設計当初構想された運用方法は、夜間に沖合の潜水艦から発進し、夜が明ける前に上陸、砂浜からジャングルの葉陰に移動し隠れる事で敵の攻撃を避けるというものだった。すなわち上陸能力を与えられた運貨艇としての運用が想定されていたといえる。貨物の積載能力は4 t で、LVTと同じく車体自体に浮力を持たせており、他の特型内火艇のような着脱式の舟形フロートは不要である。車体サイズには余裕がありこれが魚雷を搭載した攻撃兵器に転用された理由だと思われる。
潜水艦に搭載されることも考慮されていたため主要部は耐圧構造となっていた。しかし潜水艦からの発進には20分前後を必要とし、複数の潜水艦が敵前浮上して発進させるとなると肉眼はまだしもレーダーの目を逃れることはできず、大きな危険が予想された。また長時間、海中を運ばれてくる本車のエンジンが始動するか疑問であった。このため潜水艦長からは作戦に真っ向から反対され、技術陣からも作戦実行を不安視する意見具申が行われた。さらに潜航時のプロペラシャフト接合部からの油の漏洩が改善できず、位置暴露の原因になりかねなかった。
魚雷発射の試験は問題がなかったものの、特二式内火艇から流用された無限軌道は岩礁に踏み込むと破損しやすく、空冷ディーゼルエンジンは騒音が激しく隠密性も低かった。作戦実行時の潜水艦長に指名されていて、実験にも参加した板倉光馬少佐は、騒音は「まさに戦車が吼えている」感じで、走行性能は「ヒキガエルの王様」だったと評している。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「特四式内火艇」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Type 4 Ka-Tsu 」があります。



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