|
特別司法警察職員(とくべつしほうけいさつしょくいん)とは、警察官(一般司法警察職員)ではないが、職務上必要な時に司法警察の権限を行使できる特定の行政庁の職員等の総称。主に、海上保安官、麻薬取締官、労働基準監督官など〔司法警察職員等指定応急措置法第1条及び大正12年勅令第528号で権限を与えられた船長や船員等の一部の民間人を例外として含む〕。 == 一般司法警察職員との相違 == 一般の警察官は司法警察としての職務を行うために必要なほぼすべての権限が与えられている。したがって、警察官以外の者に司法警察の権限を与える法整備がなされているのは以下の条件が主な要因となっている。 #本来の職務を遂行中、違法行為の第一発見者となりやすい境遇にあり、その場面を警察官が監督することが困難であるため。 #本来の職務上保有している、捜査にも有用な専門的知識・技術が警察では教導できない。 場合によっては、おとり捜査など、法律によって警察官よりも強力な権限を付与されている場合もある。 なお、特別司法警察職員が捜査をしている事件を一般の警察官が捜査できないということはなく、警察も同じ事件を合同で捜査したり独自に捜査したりすることもある〔それぞれが独自捜査をする場合は管轄・手柄争いが生じる事もある〕。 また、主として陸上を管轄するために組織されている警察の装備や能力では対処できない、ないし対処が困難な場面を想定して設けられた海上保安官のように、司法警察権の範囲が限定されず、単に行使すべきエリアのみを限定した特別司法警察職員の制度もある。さらに海上保安官には、公海における海賊の船舶や海賊放送を行う船舶などを領海の外において拿捕する権限のほか、これらに乗船している者を逮捕する権限や船内にある財産を押収する権限など、国際法に基づく権限〔海洋法に関する国際連合条約第105条・第107条・第109条など〕も付与されている。これらは同条約および国際慣習上、各国の海軍や沿岸警備隊等に相当する機関(日本においては海上保安庁がこれにあたる)が所掌すべき職務とされているところ、日本の現行法制の下では警察庁ないし都道府県警察は海上警察の権限を有していないため、別途法令の規定により海賊行為への対処に必要な措置を実施する権限が付与されている場合を除いてはこの権限を行使しえない〔海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律第5条〕〔沿岸国は、海洋法に関する国際連合条約の規定に従い無害通航権を行使して旗国以外の領海を航行する船舶に対してその航行を容認しなければならないが、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる(海洋法に関する国際連合条約第25条第1項)。〕〔公海上を航行する軍艦・政府の非商業的役務にのみ使用される船舶(政府公船)は旗国以外の管轄権を免除されるが(同条約第95条および第96条)、乗組員が反乱を起こして支配している軍艦又は政府の船舶が海賊行為を行っている場合はこれらの規定の適用は排除され、私有の船舶が行う海賊行為とみなされる(同条約第102条)。また軍艦・政府公船は当然に公海からの許可を得ていない放送を行うことができない(同条約第109条第1号参照)〕。 特別司法警察職員にも、一般司法警察職員と同様に司法警察員と司法巡査との区別がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「特別司法警察職員」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|